東京商工リサーチの調査によると、2016年に希望・早期退職者を募集した上場企業は2000年以降で最も少なかったことが分かった。募集人数が最も多かったのは東芝の3449人。

 2016年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は18社で、前年の32社を大きく下回り調査を開始した2000年以降で最少だった。

 2000年以降で募集企業が最も多かったのは2002年の200社で募集人数も過去最多の3万9732人、次いでリーマン・ショック後の2009年に191社(募集人数2万2950人)。 円安が進行した2013年からは減少傾向をたどっており、2014年からは3年連続で1万人を下回っている。

 2016年の募集企業18社を産業別に見ると、東芝、岩崎通信機など電気機器と三陽商会など繊維製品が各3社で最多だった。

 募集人数は5785人で、前年(9966人)から4割(41.9%減)減少した。

 個別企業(グループ会社を含む)で募集(応募)人数が最も多かったのは、東芝の3449人(募集)で、全体の約6割を占めた。次いで、サニックスの500人(募集)、ケーヒンの400人(募集)、大日本住友製薬の295人(応募)など。

 募集(応募)人数が100人以上になったのは8社で、前年(17社)から半減した。

 調査を実施した東京商工リサーチは、「2016年の上場企業の人員削減の動きは落ち着きをみせた」としつつも、今後の動向については、「ビジネスの舞台はますますグローバル化を避けられないだけに、業績だけでなく事業戦略をにらんだ“選択と集中”に踏み切る企業がさらに増える可能性がある」と分析している。

 同調査は、1月12日公表分までの資料に基づき、2016年に希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出している。