日本生産性本部がまとめた「労働生産性の国際比較2015年版」によると、日本の労働生産性はOECD加盟35カ国で22位だったことが分かった。

 2015年(暦年ベース)の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は783万円で、OECD加盟35カ国中22位となった。

 ニュージーランド(760万円)をやや上回るものの、カナダ(932万円)や英国(911万円)といった国をやや下回る水準となっている。主要先進7カ国では引き続き最下位だった。

 米国(1276万円)と比べると約6割程度となっているが、これは1980年とほぼ同じ水準。1990年に米国の約7割近い水準になったが、2000年代になって6割強に低下し、緩やかに差が拡大する状況が続いている。

 イタリアや英国との差は2000年以降は縮小する傾向にある。

 労働生産性のトップはアイルランドで1622万円。次いで、ルクセンブルク、米国、ノルウェーと続いた。

 アイルランドは、実質経済成長率が26.3%で名目労働生産性(前年比26.5%増)も急上昇し、OECD加盟国の中で最も高くなった。

 ほとんどのOECD加盟国で労働生産性が前年比マイナス3%〜プラス2%程度の幅に収まっている中で、アイルランドの上昇幅は群を抜いていた。

 アイルランドが主要国の中でも極めて低い水準に法人税率を抑えていることもあり、米国企業を中心に欧州本部や本社機能をアイルランドに相次いで移したことが経済成長率を大きく押し上げた理由とみられている。

 2位のルクセンブルクでは、近年、法人税率などを低く抑えて数多くのグローバル企業の誘致に成功していることに加え、産業特性的に生産性が高くなりやすい金融業や不動産業、鉄鋼業がGDPの半分近くを占めているためとみられる。

【OECD加盟諸国の労働生産性】
1位 アイルランド 153,963ドル(1622万円)
2位 ルクセンブルク 143,158ドル
3位 米国 121,187ドル
4位 ノルウェー 120,399ドル
5位 スイス 110,046ドル
6位 ベルギー 109,077ドル
7位 フランス 100,202ドル
8位 オーストリア 100,043ドル
9位 オランダ 98,364ドル
10位 イタリア 97,516ドル

22位 日本 74,315ドル(783万円)

 物価変動を加味した実質労働生産性上昇率は0.4%となっており、OECD加盟35カ国中28位だった。これは、米国(0.7%)をやや下回るもののフランス(0.4%)やドイツ(0.4%)と同水準にあたる。

 1990年代から2000年代初めはトップクラスだった日本の製造業の労働生産性は優位性を失っている。しかし、2010年代に入ってやや改善し、フランスやドイツ、英国などと近い水準で推移しており、最新データの2014年では11位となっている。