うるう秒で挿入される「59分60秒」

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「元日出社待ったなし」「エンジニア泣かせのタイミング」――。日本時間2017年1月1日午前8時59分に挿入される1秒間の「うるう秒」をめぐり、こんな「悲鳴」がITエンジニアから上がっている。

イレギュラーな「うるう秒」が挿入されることにより、情報システムに障害が発生する可能性があるためだ。トラブル対応や事前準備で出社する必要が出てくることから、ネット上には「年末年始の休みがなくなりました...」と嘆くエンジニアが続出している。

「mixi」などで通信障害が発生した例も

うるう秒」の挿入は、原子時計の刻む正確な時刻(原子時)と、地球など天体の動きに基づく(天体時)のズレを調整するために実施するもの。1972年に始まり、今回で27回目。元旦に調整が行われるのは2008年以来9年ぶり。

たった1秒の「うるう秒」で、大きな影響を受けるのが情報システムの分野だ。通常は存在しない「59分60秒」という時刻が挿入されることで、システム障害やトラブルが発生する可能性があるためだ。

トラブル発生の原因について、標準時を管理する情報通信研究機構(NICT)の担当者は16年11月4日のJ-CASTニュースの取材に、

「一般論ですが、『うるう秒』が挿入されることにより、複数のシステム間で『時刻の食い違い』が発生してしまうと、システム障害やトラブルが起こります」

と説明する。実際、前々回(2012年7月1日)の実施時には、SNS「mixi」で大規模な通信障害が起きたほか、「Linux」というOSを用いて構築されたサーバーシステムにも不具合が出たという。

こうした影響で、トラブルを回避するための事前準備や当日の対応に追われるのが、システムを管理するエンジニアだ。前回(2015年7月1日)はうるう秒挿入の影響で大きなトラブルは発生しなかったものの、ツイッターやネット掲示板には、

うるう秒対応のため今日は早朝から出勤」
「今日のうるう秒対策で社内SEが待機している」
「(うるう秒対応で)8時半ごろから現場に詰めてた」

といった声が数多く出ていた。

「なんで元旦なんかにやるんだ」

このように、エンジニアにとって大きな負担となる「うるう秒」。17年元旦の実施を総務省が16年7月8日に発表して以降、ネット上には「正月休みが...」「年末年始の仕事が確定した」といった嘆きの声が相次いで寄せられている。

NICTが11月1日に行った「うるう秒実施に関する説明会」では、サーバーなどのシステム管理者に向けて改めて注意喚起が行われた。こうした注意喚起を複数のニュースサイトが伝えたことから、エンジニアからは再び大きな悲鳴が上がることになった。ツイッターやネット掲示板には、

「何故大勢のエンジニアを休日出勤させるようなタイミングでうるう秒を挿入したがるの」
「元旦に設定するのは正直酷い」
「なんで元旦なんかにやるんだ」

といった声が続々と寄せられている。なかには、「うるう秒を元旦に挿入するエンジニア殺し」といった恨み節も出ていた。

なお、NICTの担当者は取材に対し、「プロバイダ業者を対象にした聞き取り調査でも、(うるう年調整は)休日よりも平日の方がよいという意見が圧倒的でした」と明かす。その上で、

正月に実施するだけに、やはりトラブルに対応できる人員が不足する可能性があります。その分、事前準備を徹底して欲しいと思います」

と話している。