「べっぴんさん」15話「自分の手で仕事して 自分の足で生きるんや」

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第3週「とにかく前に」第15回 10月19日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


闇市での再会


預金が凍結、さらに2万円以上の預金には財産税がかかるという厳しい状況下、すみれ(芳根京子)はお金をつくるために思い出の品を売らなくてはならなくなった。
大阪の闇市は活気に満ちあふれ、でもうさんくさい人がたくさん。ゆり(蓮佛美沙子)が柄の悪い人にからまれていたところ、「なにしとるんや!」と潔(高良健吾)が一喝。
高良健吾のこの貫禄はなんだ。ギリシャ彫刻のようにくっきりした顔立ちの2枚目でいて、庶民的なニオイもあり、そのブレンドが唯一無二。
ゆりを訊ねてきたすみれだったが何も言えず、闇市をひとりうろついていると、キャバレーで外人相手に商売してる悦子様(自分で悦子様って・・・/滝裕可里)と再会。「てるてる家族」(03年)では春子(紺野まひる)の子供時代を演じていた滝裕可里が「瞳」を経て、戦争で苦しむ女を演じるようになるなんて。
家族も夫も死んで娘のために頑張っている悦子様。「ここへ来るんは最後の最後やで」とすみれに言ったあと、
「寒っ」とつぶやくのをきっかけに商売の顔に戻る。その晩、すみれもさくらと寝ながら「寒い、寒いな」と身を震わせる。
悦子様で思い出したが、すみれのお友達の良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)はどうしているのだろう。
ケータイもパソコンもなくてかんたんに連絡とれない時代は大変だ。

うまいこと言う脚本


「着るもんを一枚一枚脱いで売っていく。
タケノコみたいやろ。
しまいには丸裸や」(潔)
なんて印象的なセリフだろうか。
そして潔はこう続ける。
「働くしかない。
すみれちゃんもじぶんの手で仕事して
自分の足で生きるんや」
その後、すみれは麻田(市村正親)と再会。
少女時代もそうで、すみれはターニングポイントで靴屋に出会うっていうのがいい。
靴といえば「足」だ。
次は「手」。麻田はすみれの手作りの写真入れを褒めて「いろんなもん作って、ここで売ったらどないですやろ」と提案する。お、「手」も出てきた。
潔の言う、生きるために必要な「手」と「足」にうまいこと繋がって、言葉数少ないナイーブなすみれがいよいよ立ち上がるか。
(木俣冬)