わら半紙(ざら紙)のことを覚えているだろうか?学校のミニテストや連絡プリントによく使われていた灰色の紙のことだ。消しゴムで逆に汚れたり、すぐに折り目が付いたりと、何かと「安価な品」というイメージがある。しかし、このわら半紙、現在では使われることが減ってきているという。そこには1つの「逆転現象」が潜んでいた......

安さというアドバンテージは失ったが別の場所のニーズを満たしていた

わら半紙は安価で大量に印刷できるため、学校などで主に使われていた。安価な紙として重宝されていたのだが、再生紙の技術の向上、コピー機の導入が進んだことにより、だんだんと使われる機会が減ってきた。

あの書き心地が懐かしくなった記者は、実際にわら半紙を購入しに文具店へと足を運んだ......のだが、待ち受けていたのは、

「うちではもう取り扱っていませんね......」

という言葉だった。あきらめずに複数の店舗を回ったが、返ってくる言葉は同じだった。なるほど、確かにわら半紙は今やマイノリティのようだ。もう気軽に買えるものではなくなっているのだろうか......?

だが、最後に寄った個人経営の文具店では今も取り扱っていた。

「今日は無いけど、明日なら用意できるよ!」

おお、ついに手に入るぞ!明日また訪れる旨を伝え、翌日再度来店。

翌日、わら半紙を詰めながら、店長は現場からの声を教えてくれた。

「わら半紙どこにも売ってなかったでしょう?もう取り扱っているところも少ないからねぇ。
今は学校も殆どコピー機になっちゃったから、目詰まりするってことで殆ど使われないね。ガリ版なんかも見当たらないし。それに今は白い紙の方が安く買えちゃうから、わざわざこっちを使う人もあんまりいないねぇ」

なるほど、やはりわら半紙は教育の現場から消えつつあるようだ。近い将来にはすべての学校がコピー機に移行するのだろう。値段を比べてみても、通常のコピー紙が2500枚で約1800円で手に入るのに対し、わら半紙が1000枚で約3000円と、確かに割高だった。実用面と価格面でコピー紙に後れを取る以上、特に拘って使い続ける意味も薄い。時代の流れというものだ。

そうして手に入れたのがこちらのわら半紙だ。


左は比較用のコピー紙

おお、この独特のざらざらとした手触り、幼き日の記憶が蘇ってくるようだ......。

消しゴムをかけると黒く汚れた小テスト、湿気で弱くなり簡単に穴が開いた梅雨、勉強に飽きたら紙飛行機に変身させたりと、人生の数々の場面で一緒だった、わら半紙。

もう学校ではあまり出番がないのかと思うと、少しばかり寂しくなる。

徐々に使われることは減ってきたわら半紙ではあるが、お菓子作りの現場では今も大活躍しているという。

程よく水分を吸収する性質が、スポンジを焼くときの敷紙としてちょうどいいのだそうだ。

かつてはあった「安さ」という武器は失ったが、その特徴が他の場所のニーズを満たした結果、今もわら半紙は生き残っている。適材適所である。

さて、手元に残ったこの少なくない量のわら半紙、どう使っていこうか......。