【誰かに教えたくなる話】日本の文化がよくわかる「国字」って何？

私たちが普段何気なく使っている「漢字」。
日本には平仮名と漢字がありますが、漢字は中国から伝わったものがほとんどです。
ですが、なかには、日本でオリジナルに作られた漢字もあります。
「国字」と呼ばれるものです。

あなたは「国字」をどれくらい知ってますか？

5万字以上あると言われている漢字のうち、2600字は日本で作られているもの。
今現在普通の生活で使われている国字はほんの少しなのですが、国字を勉強すると、日本の文化がとてもよくわかるのです。

たとえば、最も有名な国字は「畑」という字。
これは田んぼで雑草などを燃やし、肥料にしていたので作られた漢字ですが、この文化は日本独特のもの。
中国は、田も畑も『田』の一文字で表し、畑という漢字はありません。

ほかにも使っている国字はあります。
山へんに上・下と書いて「峠（とうげ）」。
風に止まると書いて「凪（なぎ）」。
木に門と書いて「椚（くぬぎ）」。
このあたりは、ご存知かもしれませんね。

では、「にんべん」に「おとうと」書く漢字は、なんて読むかわかりますか？
……答えは「俤（おもかげ）」。
兄弟同士は面影が似ていることから、この漢字が作られたのでしょうね。

このように、国字はそのほとんどが「自然」や「人」にまつわるものばかり。
日本人がどのように自然と共生してきたかが、わかる気がします。

では、ここでもうひとつ問題。
国字の中で、最も多いのは「なにへん」が付く漢字でしょうか？
……実は、魚へん。
少ない国字の圧倒的多数をしめるのが魚の名前です。

日本人と、魚。
切っても切り離せない関係だったことが、こんなことからもわかりますね。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「国字が教える、日本の文化」として、9月8日に放送しました。