沖縄本島北部や離島に行くと、「〇〇共同売店」というお店を目にする。Wikipediaによると、共同売店とは「集落の住民が共同で出資・運営する商店」のこと。100年以上も前に本島北部の小さな集落で誕生した、独特の歴史と運営方法を持つ、相互扶助組織だ。

真栄田共同売店(筆者撮影)

筆者が経営するマリーンショップのはす向かいにも、そんな共同売店がある。「真栄田共同売店」。青の洞窟で有名な沖縄中部地方の恩納村真栄田地区にあるお店だ。さっそく中に入ってみよう。

さんぴん茶を「ボトルキープ」

いたって普通の個人商店...?(筆者撮影)

なんのことはない、どこにでもあるような個人商店に見える。しかし店内の右側に目を向けてみると、ここが唯一無二のお店であることに気づく。

ゆんたくとぅくる?(筆者撮影)

「ゆんたくとぅくる」。「ゆんたく」とは沖縄の方言で「おしゃべり」の意味、「とぅくる」は「ところ」。すなわち、「おしゃべりする所」という意味だ。文字通り、ここは地元コミュニティーの憩いの場でもあり、現在は毎週火曜日の晩に、おじいとおばあが集まって一緒に三線を弾いている。

参加者はボトルキープをして、沖縄の「さんぴん茶」(ジャスミン茶のこと)や泡盛を楽しみながら、友人たちと「ゆんたく」をする。中には地元に住む外国人の方や、たまたまその時間に訪れる外国人の観光客も参加する。まさに異文化交流の場所だ。

しっかりキープされているボトル(左下)

都会化が進むにつれて独居老人も増えるのが現実だが、沖縄の田舎にはこうした「ゆんたくとぅくる」の精神がまだ残っている。

手作り弁当からジェラートまで

それはさておき、ここで筆者が昼食を取る時に必ず注文するのは、「100円沖縄そば」。

カウンターには、そばが並ぶ(筆者撮影)

セルフサービスのカウンターで、スープ、天かすと紅しょうがはおかわり自由。もちろん、これだけではお腹いっぱいにならないので、地元の方々の手作り弁当も注文。

お弁当もズラリ(筆者撮影)

この日は色彩豊かな小さなお弁当を。

天かすと紅しょうがをトッピング(筆者撮影)

デザートは「見た目も黒ゴマ」ジェラート。

小浜島産の黒ゴマを使用(筆者撮影)
確かに「見た目」から黒ゴマ!(筆者撮影)

ジェラートにはいろんな種類があり、全部沖縄地元の産物が利用されている。

ラインアップも豊富(筆者撮影)

筆者としてはシングルアイスクリームに360円を出すことは通常しないものの、そのお金が地域の活性化に繋がることを考えると、惜しみなく財布のひもを緩めることができる。

店長の比嘉さんに、Jタウンネットに掲載されることを伝えると大喜び。

よろこぶ比嘉さん(筆者撮影)

今ではほとんど目にしなくなった「共同売店」。ゆいまーるの精神と、地域のきずなを強めるための知恵がここに見いだせる。青の洞窟ツアーの際には是非、立ち寄られることをお勧めします。

真栄田共同売店沖縄県国頭郡恩納村字真栄田688098-965-4284

今回の筆者:河原良成世界数か国で生活した後に、40代で二児の父親となる。子育てのため沖縄に移住。現在、好きを仕事にするため、マリーン事業「沖縄サーフガイド」を営んでいる。