危機に立つ日本の「ラッコ飼育」
[ドデスカ!-名古屋テレビ]2016年3月14日放送で国内で個体数の減っているラッコを紹介していました。
鳥羽水族館のラッコ(きうこさん撮影、Flickrより)
水族館からラッコが消えるかも!?
水族館の人気者の代表とも言えるラッコですが、年々個体数が減っていて、水族館で見られなくなる恐れがあるかもしれないとのこと。
そんな中、三重県鳥羽市の鳥羽水族館に、1頭のラッコが仲間入りしました。名前はロイズ、10歳のオスです。
ロイズがやってきたのには、国内での繁殖を進めるためという大きなミッションがありました。
鳥羽水族館へラッコがやってきたのは、今から30年以上前のこと。
1984年には日本発のラッコの赤ちゃん「チャチャ」が誕生し、たちまち全国がラッコブームに沸きました。
人気とともにその数は増え、ピーク時には122頭にまでなりましたが、ここ数年で状況は一変。飼育数は13頭にまで減ってしまいました。
国内の個体数減少の理由とは?
その大きな原因は、ラッコの輸入が行われなくなったことです。飼育研究部の石原良浩次長によれば、野生のラッコが減少、絶滅危惧種に指定されたため、1998年に輸入されたのが最後とのこと。
輸入が途絶えて10年以上、これまでに約20頭もの繁殖を成功させ、数を減らさない努力をしてきました。
しかし新しい個体が入ってこないため高齢化が進み、なかなか妊娠に結びつかないなど問題もあるそうです。
そこで現在とられている対策の一つが「ブリーディングローン」です。
希少な動物を絶やさず増やすために、国内で動物を貸し借りする制度で、東山動植物園のユキヒョウや、名古屋港水族館のエンペラーペンギンも、この制度により繁殖を図ってきました。
目指せ繁殖!同居スタート
和歌山のアドベンチャーワールド生まれのロイズも、7年前に鳥羽水族館のメスのメイと繁殖を試みましたがうまくいかず、2014年には一度東京のサンシャイン水族館へ。
そして今年再チャレンジするべく、鳥羽へ戻ってきたのです。
緊張の中、ついに同じプールに入ることになりましたが、仲よく一緒に泳ぎ、じゃれあうほどに。ひとまず繁殖の第一歩はうまくいったようです。
今年繁殖に成功すれば、国内では4年ぶりとなるとのこと。ぜひうまくいって欲しいですね。(ライター:神谷祐美)