中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光報道官は16日、米国が台湾にフリゲート艦など総額10億ドルの武器を売却する方向であることを受け、「台湾に武器を売ることに断固として反対する」と述べた。中国網が報じた。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光報道官は16日、米国が台湾にフリゲート艦など総額10億ドルの武器を売却する方向であることを受け、「台湾に武器を売ることに断固として反対する」と述べた。中国網が報じた。

 米国の武器売却については15日にも中国政府・外交部の洪磊報道官が、「米中間の3つのコミュニケ、とりわけ八一七コミュニケの原則に違反する。中国への内政干渉であり、(台湾海峡)両岸関係と米中関係を傷つける」として強く反発した。

 3つのコミュニケとしては1972年にニクソン米大統領が中国を電撃訪問してまとめた上海コミュニケ、両国の国交樹立を決めた1978年の米中共同声明、さらに1982年8月17日に発表した第3次米中コミュニケ(八一七コミュニケ)を指す(解説参照)。

 国台弁の馬報道官も16日になり「いかなる国がいかなる形式で、あるいはいかなる口実を設けようと、台湾に武器、武装装備、技術を売却することには断固として反対する」と表明した。

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◆解説◆
 第3次米中コミュニケ(八一七コミュニケ)は、米国から台湾への武器輸出について「(米中)両国の国交樹立時の交渉で、解決を得られなかった。双方の立場は一致しておらず、中国側は国交正常以降、改めてこの問題をもちだした」などと記述している。

 米中両国は台湾への武器輸出のついての協議を継続していることは盛り込まれているが、米国側が売却しないと約束したわけではない。上記で洪報報道官が「八一七コミュニケの『原則に』違反する」と述べているのはそのためだ。

 なお、米国は1979年に台湾関係法を成立させた。同法は台湾との軍事同盟を定める米国国内法であり、「米合衆国は台湾居民の安全、社会や経済の制度を脅かすいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる防衛力を維持し、適切な行動を取らなければならない」との条文が盛り込まれている。

 中国台湾に対する軍事作戦に踏み込めないのは同法の存在が大きな背景だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)