斉藤 秀樹 / 株式会社アクションラーニングソリューションズ 一般社団法人日本チームビルディング協会

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◆チーム成長という新たなマネジメント視点
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▼ チーム成長ついて▼
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チームは、第1段階(フォーミング:チームの形成期)、第2段階(ストーミング:互の特性をするための混乱期)、第3段階(ノーミング:チームとしての規範や関係性が作られる標準期)、第4段階(トランスフォーミング:チームとして最も成熟した達成期)の4つの段階と成長のステップを持っています。

チームは結成されると必ず第1段階から始まります。しかし、この成長ステップはチームマネジメントに取り組まない限り、ずっと第1段階のままで成長することがありません。
第1段階の特徴は個人商店です。ですからチームは個人商店の集まりから始まり、成長することによってチームとしてのシナジーつまりチーム力を獲得していきます。

私達はこれまでアクションラーニングで積み上げた事例をこの4つのチーム状態に整理、それぞれの段階の現象と真因の関係について整理を始めました。結果は驚くべきものでした。

それはチーム成長が第1段階、第2段階では真因のほとんどがBeとなり、第3段階、第4段階に成長することで真因がDoとなる割合が高くなるということでした。
つまりチームが成長不全(第一段階、第2段階に留まったまま)では、現象(表面的な課題)に対するDoの対策は役に立たないという真実と、ほとんどの組織においてBeの対応が出来ていないという事実でした。

車に例えるなら、事業計画や実現方法といったDoをナビゲーションシステム、本音が言い合える関係や当事者意識といったBeを推進力やエネルギー(エンジンやガソリン)と言えます。どんなに精緻な事業計画があってもエネルギー不足(ガス欠)では、車は進みません。
つまり、多くの組織、チームはガス欠状態にあるのです。
この状況は私達が関わった実に8割以上の組織、チームに言えることでした。

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▼ エネルギーを生み出すチームビルディングの導入による成果▼
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あるチームは長年、納期通りに製品開発が進まず、悩んでいました。
チームの状況を診断するためにメンバーへのインタビューを始めた状況が明らかになりました。

・リーダーの関わりは一方通行な指示命令が中心でメンバーの意見を吸い上げようとしない。
・何でも言い合える場(安全な場)がなく、分からないことがあっても質問しない。特に若手メンバーは叱られるのが怖くて悩みや問題を誰にも相談でいない。
・メンバー間の進捗共有ができていない。そもそも他のメンバーに興味のなく、支援的な関わりがほとんどない。
など、チーム成長の典型的な第1段階でした。

この状況から脱却するために、まずリーダーにチームビルディング(リーダーシップを含め)を学んでいただき、チーム全員で合宿を行いました。合宿の主な目的は野外でのアクティビティを活用したプログラムによって、自分たちのチームが現実的に成長していく実感を体感いただくことと、腹を割って何でも話せる場を創り心から自分たちのチームをどうしていきたいのかを話し合うことです。
この合宿を起点として、それぞれのメンバーがチーム創りのための自分ができることを決め実践し続けること、チームとしての目標達成に本気で取り組むことを約束して実務に戻りました。その後、定期的な現状打破のセッションを月に1回程度実施しながら約4ヶ月後、チームはこれまで何年もの間、達成できなかった納期通りの製品開発を成し遂げました。
メンバー一人ひとりの顔には自信と喜びが満ち溢れていました。そして、リーダーはその過程の中でボスマネ(支配者)からファシリテーター(支援者)に変化していました。

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▼ チームビルディングの8ステップ▼
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3回に渡ってチームビルディング手法が生まれた背景、事例の分析から浮き彫りになった組織で起きている課題の構造とチームビルディングの重要性についてお話してきました。
最後に次号から詳細に紹介するチームビルディング手法の各ステップの全体像についてお話していくことにします。

チームの成長は既にお話しましたように4つの段階を持っています。
チームの成長はチームの結成から時間とともに自動的に進んでいくことはありません。
ですから、チームを成長促進するためのチームファシリテーターとしての関わりが重要になります。そして、その具体的なアプローチが8つの要素、8つのステップです。

8つのステップとは

1:チーム意識、2:安全な場、3:信頼関係、4:自信と本気

5:チームへの貢献意識、6:当事者意識、7:リーダーシップ、8:ビジョン/ミッション

この8つのプロセスは前半の4ステップは「Be」に重きを置いた取り組みに、後半の4ステップは前半の4ステップで構築されたチーム土台の上に「Do」に重きを置いた取り組みになります。これまで様々なDoの取り組みをしても成果が出ず、チーム力の向上も実感できない皆さんは特に前半の4ステップを本気で取り組んでください。この取り組みのよって土台ができれば、これまでのDoの取り組みもしっかり機能していきます。