サッカーの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会で、米国代表とベスト4を巡って争い敗退したものの、久々のベスト8進出を果たした中国女子代表について、中国メディア・新華網は28日、佐々木則夫監督率いるサッカー日本女子代表(なでしこジャパン)を例にとり「中国女子サッカーの発展を妨げているのは、金銭だけではない」とする評論記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 サッカーの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会で、米国代表とベスト4を巡って争い敗退したものの、久々のベスト8進出を果たした中国女子代表について、中国メディア・新華網は28日、佐々木則夫監督率いるサッカー日本女子代表(なでしこジャパン)を例にとり「中国女子サッカーの発展を妨げているのは、金銭だけではない」とする評論記事を掲載した。

 記事は、中国国内の専門家が「中国女子サッカーの発展を妨げているのは金銭の問題だ」と評したことに対して「本当にそれだけだろうか」と疑問を示し、中国女子サッカー選手の待遇について紹介した。

 中国では女子のプロサッカー選手は基本給とトレーニング手当、そして試合の賞金という3種類の報酬を得ることができ、主力選手であれば十分な給料が得られるうえ食・住もクラブが保障してくれるという。また、世界的な大会以外でも、「全運会」(日本の国体に相当)で優勝を収めれば高額の賞金を獲得することができるほか、中国代表に選ばれれば1日に3000-4000円の手当ももらえるとのことだ。

 記事は、このような中国女子サッカー界の待遇に対して、「世界チャンピオン」である日本の女子サッカーの収入状況は厳しく、一般の選手は「普通のサラリーマンの半分程度」の収入しか得られないと紹介。日本代表中の選手の多くが副業の必要に迫られているとした。

 そして、待遇面で中国女子サッカー界が日本を大きくリードする一方で、女子サッカーの普及という点では「日本よりはるかに遅れている」と解説。日本の女子サッカー選手が4万人なのに対して、人口が10倍の中国にはわずか6000人程度しかいないこと、日本では小学校、中学校レベルから人材育成が行われており、U-17選手権の優勝メンバー中5人が名門高校の女子サッカー部所属であったことを紹介した。

 記事はそのうえで、「中国女子サッカーが抱える真の問題は待遇ではなく、このスポーツが人びとを引き付ける力をいかにして強いものにするかだ」と論じ、日本に学んで女子サッカーを学校スポーツと結び付けるとともに、「このスポーツに対する人びとの誤解を積極的に変えていく」べきであるとした。そして、「とくに、少女たちがサッカーをするというのはとても有意義なことだということを、保護者たちに知らしめなければならないのだ」と締めくくった。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)