日本全国の子どもたちが作った米が27日、カンボジアに運ばれるためにコンテナに積み込まれた。米が入った袋にはメッセージが書き込まれている(撮影:佐谷恭)

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日本全国の子どもたちが作った米が、カンボジアの子どもたちへ―。支援米約33トンが27日、横浜市中区の日本通運「本牧フレッシュセンター」でコンテナに積み込まれた。支援米は29日に横浜港を離れ、4月11日にカンボジアのシアヌークビル港に到着する予定だ。

 北は北海道から南は鹿児島まで、23道県から4200人以上の子どもたちが、総合学習の時間などに支援米作りに携わった。米が入った袋には「おいしい米食べてね」などと、日本の子どもたちからカンボジアの子どもたちへのメッセージが絵や文字で色とりどりに書き込まれている。カンボジアの子どもも、お礼に絵などを送り返すといい、ささやかな交流が生まれている。

 支援米は、市民団体「フォーラム平和・人権・環境」(東京都千代田区、代表:江橋崇・岩松繁俊)の呼びかけで、農家などが生産調整のため使わなくなった全国の休耕田を利用して生産した。同フォーラムは1985年から、飢餓に苦しむアフリカ諸国に同様の方法で支援米を届けている。カンボジアには国連世界食糧計画(WFP)を通じ、99年から今回までに計約260トンを送っている。

 支援米はカンボジアに到着後、WFPの学校給食プログラムに活用される。現地NGO「For the Smile of a Child(子どもの笑顔のために)」が子どもたちに学校給食として支給するほか、子どもを学校に通わせる対価として、その親に支給されることもある。同国の貧困地域では、ごみ拾いなどで子どもが労働し、生計を助けている場合も多い。同NGOは、支援米の一部を家庭などに提供することで、児童労働の抑止になり、子どもたちが教育を受ける機会が広がることを期待している。

 2005年に、同NGOがカンボジアで支援した子どもの数は、約5500人という。現時点で1カ月に必要な米の量は49トンで、今回積み込まれた支援米は約3週間分に相当するという。【了】