新日本無線にTOBを仕掛けているM&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)の村上世彰代表(資料写真:常井健一)

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半導体メーカー新日本無線<6911>に株式公開買い付け(TOB)を仕掛けたM&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)の村上世彰代表は7日夕、新日本無線が同日の取締役会で村上ファンド側のTOBに改めて反対表明したのを受け、「何を判断材料として表明したのか、理解に苦しむばかり」とのコメントを発表した。

 その上で、同じく新日本無線にTOBを仕掛け、同無線から賛同を受けている日清紡<3105>の買い付け価格1株880円に対し、村上ファンド側が950円と高いことを示して「同無線取締役会は、株主にとって不合理ともとれる判断に至った背景・経緯を全て開示する義務がある」と批判。

 取締役が会社を売却する際に敵対的な買収が生じて競売が避けられない場合、売却価格の高低だけが判断材料となるとした米国の司法判断である「レブロン基準」を例示して、村上氏は「株主のために最も高い買い手を見つけるべき」「日清紡との取り引きの透明性が求められる」と主張している。

 今回の新日本無線による「村上反対」の再表明で、8日に期限を迎える日清紡のTOBに、同無線株50.49%を保有する日本無線<6751>が応じる見方が強まった。村上氏は、買い付け価格の差を強調して、日本無線が日清紡のTOBに応じれば株主代表訴訟の対象になる可能性があると以前から指摘しており、新日本無線の代理人を務める中村直人弁護士らを相手に法廷闘争へ持ち込む可能性もある。【了】

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