東京都中央区の新日本無線本社(資料写真:常井健一)

写真拡大

半導体メーカーの新日本無線<6911>は7日、同社株式の公開買い付け(TOB)を日清紡<3105>と村上ファンドの双方が掛けている問題で、取締役会を開き、日清紡側に賛同し、村上ファンド側へ反対する方針を堅持することを決議したと発表した。同社の労使双方は11月24日にも同様の声明を発表しており、村上ファンド側の敵対的な立場がより鮮明になった。

 新日本無線は、村上ファンド側への反対の理由を◆事業上の相乗効果が見込めない◆信頼関係の構築が困難◆労働組合が強く反対している−と主張。日清紡に対しては、1株あたりの買い付け価格を従来の840円から880円に変更したことも評価に加えて「企業価値・株主共同の利益の確保と向上に資するという点で共通認識がある」と支持の意向を強調した。

 新日本無線株をめぐって、日清紡が1株840円で友好的なTOBを11月9日から開始したが、村上世彰氏が代表を務める投資会社、エム・エイ・シーも1株900円とするTOBの開始を同21日発表し、異例のTOB合戦が始まった。

 その後、日清紡側は11月25日、「TOBの成功をより確実なものするため」として、買い付け価格を1株880円に引き上げ、期限も同29日から12月8日に延長。12月15日を期限とする村上ファンド側も3日、1株950円に引き上げ、「条件の優位性をさらに際立たせ、新日本無線株の過半数を必ず取得し、TOBを成立させる」としていた。

 新日本無線の「村上反対」再提示で、同無線株50.49%を保有する日本無線<6751>が日清紡側へ応じる従来の方針を貫くかどうか、日清紡側の期限である8日にヤマ場を迎える。

 7日の東京株式市場で、新日本無線株は続落し、終値は前日終値より51円(5.45%)安の885円だった。【了】

■関連記事
村上氏、「TOB反対」に反論
日清紡、値上げで村上氏に対抗
「反対」で村上氏の敵対色強まる