NTTドコモの最大で月間178万円以上の節約が可能な音声通話定額は、どこか国内初なのか?

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2014年4月10日、NTTドコモより革新的なプランの発表があった。それは、ケータイによる音声通話定額である。スマートフォンは月額2,700円(税別)、フィーチャーフォンは月額2,200円(税別)にて自社ケータイのみならず、他社ケータイ、固定電話と、ほぼすべての国内通話を無料で利用できるプランである。

NTTドコモはこの「カケホーダイプラン」を国内初の国内音声通話定額プランと位置付けている。
つまり、今回の発表は、ケータイ“電話”が大きく変わる音声通話定額がスタートするのだ。

しかし、ちょっと待て。
そもそも、私たちは、音声通話定額をちゃんと理解できているのだろうか? ふと疑問が頭をよぎった。また、国内音声通話定額を提供しているのはNTTドコモだけではないのだ。

●そもそも定額とはなにか?
NTTドコモが音声通話を定額にするのだろうなということはわかった。しかしながら、そもそも「定額」とはなんだろう。辞書を紐解くと、「一定の額。定まった額。」と書いてある。つまり、一定の同じ金額で利用できるということだ。

それでは、今回発表されたNTTドコモの「カケホーダイプラン」はどうだろう。スマートフォン月額2,700円、フィーチャーフォン月額2,200円(ともに税別)という定まった金額で国内通話を無料にしている。たしかに間違いなく定額ということのようだ。

●完全な音声通話定額はドコモだけ!他社と何が違うのか?
今回NTTドコモが提供する「カケホーダイプラン」は0180や0570からスタートする番号などのごく一部通話以外は、国内での通話を無料にするというものだ。

しかしNTTドコモ以外にも国内通話を定額にしている会社がある。それは「ウィルコム」と「イーモバイル(イーアクセス)」、それと4月21日から音声通話定額を導入する発表をした「ソフトバンクモバイル」である。

どちらも音声通話を定額にしているが、実はNTTドコモとそれ以外の会社には大きな違いがあるのをご存知だろうか。
まずは、下の表をみてほしい。




※価格はすべて税別です
※ウィルコム、イーモバイルの通話定額はオプション扱いです
※ソフトバンクの通話定額はデータ定額制も含まれています
※NTTドコモも著しい長時間の通話などには通話切断する場合があります
※ウィルコム、イーモバイルは6月より「ワイモバイル(仮)」となります
P2_そもそも音声通話定額.jpg

NTTドコモ以外の他社の場合、一回の通話を5分〜10分程度、月間は50回〜1000回というように、時間と回数の制限を設けているのだ。この制限を超過すると通話料金が別途かかるというシステムだ。しかしながら、NTTドコモの通話定額には、そうした制限がない。つまり、NTTドコモが「国内初!」とうたうのは、この部分があるためだ。

他社が音声通話定額をしないワケとは
ここで、また1つ疑問がでてきた。

NTTドコモが今回の音声通話定額を発表するまえに、他社にも完全な音声通話定額を発表する時間は十分にあったのに、なぜ、完全な音声通話定額を発表しなったのかということだ。実は、それをしない理由があるのだ。

それが「接続料」の問題だ。

「接続料」とは、自社から他社へ音声通話をする際に、接続する先の会社に支払う金額のことだ。
例えば、ウィルコムの「だれとでも契約」にてNTTドコモに通話をしたと仮定しよう。
ウィルコム → NTTドコモに通話する
すると接続料 0.057円/秒の支払いが、ウィルコムからNTTドコモに発生する
(※NTTドコモへの接続料は2014年4月現在)

これが1か月間に10分の通話を500回したとしよう。するとウィルコムは、実に17,100円をNTTドコモに支払わなければならない計算となる。さすがに全てNTTドコモへ通話するとは考えにくいが、他社に通話をした場合、接続料を発信側のケータイ・PHSキャリアが負担する可能性があるというところだ。

実は、音声通話定額というのは他社ケータイや固定電話に電話をかければ、かけるほど、定額サービスを提供している側のコストがかかってしまう仕組みなのだ。これでは、NTTドコモ以外が完全な音声通話定額の提供を見送ったのも妥当な選択といえる。

つまり、今回のNTTドコモが2,200円ないし2,700円(ともに税別)で時間制限なし、回数制限なしの国内音声通話を定額にするというのは非常に思い切った英断であると言えよう。

●無料でも高品質の通話を提供して、無料通話サービスに対抗する
NTTドコモが音声通話定額を導入した理由には、もうひとつある。それが、LINEなどのデータ通信を利用した無料通話アプリの存在だ。
無料通話アプリは、有名なところだけでもLINEやFacebook、Skypeがある。これらは同じアプリ同士であれば無料で通話ができる。また、OCNの050プラスなら、提携先との050番号同士とも通話が無料となっている。

これらも通話先の制限こそあるが、通話定額とも言える。NTTドコモとしては、こうした無料通話サービスに対抗する目的もあり、通話音質で優位性がある音声通話定額を導入したと思われる。モバイルデータ通信やWi-Fiに音声データを利用する無料通話サービスは、通信品質が通信環境に大きく左右されてしまうが、NTTドコモの音声通話定額では安定した通信品質を提供できるからだ。

●音声通話定額にはいるべき?どうすればいい?
ここまでで音声通話定額について述べてきた。
しかし、一番大事なことは、利用者は、NTTドコモの音声通話定額で「得をするのか。しないのか」ということに尽きる。

まず、現在他社の音声通話定額に加入している場合、通話時間や回数に不満がないなら、そのままで良いだろう。
また、LINEやSkypeなどを使っている場合、通話先がアプリ利用者で固定できているのであればそのままで問題なさそうである。

では、それら以外のユーザーはどうか。
NTTドコモの「カケホーダイプラン」と、現行「タイプXiにねん」を比較すると、料金は1,957円の差がある。

「タイプXiにねん」(30秒あたり20円)で、毎月約50分以上通話する人であれば、「カケホーダイプラン」に加入すると良いだろう。
逆にほとんど通話しない、電話も着信が多い場合、現行のプランが良さそうだ。

NTTドコモの新料金プランは5月15日(木)より予約を開始、サービス開始は6月1日(日)である。また、現行のXiプランの新規受付は、2014年8月末にて終了する。

つまり、それまでにどのプランが自分に適しているかを判断すればよいわけだ。

ちなみに、タイトルの「178万円節約」の根拠は、30秒20円というスマートフォンの通話料金を24時間、31日間ぶんかけたものであり、“理論上は”となることをご承知いただきたい。


布施 繁樹