韓国軍が越北を試みた韓国人男性を射殺した事件について、北朝鮮の朝鮮赤十字会は28日、談話を発表し、「南韓(韓国)政府の“反人倫性”と“残忍性”があらわになった」と韓国政府を非難した。複数の韓国メディアが報じた。

 朝鮮赤十字会中央委員会の報道官は談話で、射殺された韓国人男性は「人生に対する意欲をすべて失い、絶望にあった」とし、北朝鮮入りは「最後の選択だった」と主張した。

 さらに「正義と良心を大切にする世界各国の赤十字団体、国際機構、公正な国際社会の世論は、“かいらい一味(韓国政府)”の反人倫的な蛮行を絶対に許してはならない。断罪し、犯罪者に対する審判を積極的に行うべきだ」と訴えた。

 労働党の機関誌「労働新聞」も同日の論評で、「今回の虐殺蛮行について、謝罪のひとこともなく、むしろ被害者に“北朝鮮のスパイ”とのレッテルを貼っている」と主張。26日には北朝鮮祖国平和統一委員会が、事件について「反人倫的な蛮行」と非難した。

 韓国軍による越北者射殺事件は、16日午後、南北軍事境界線に近い韓国北西部・京畿道坡州市の臨津江(イムジンガン)で発生した。当時、韓国軍は、北朝鮮側に入ろうとしていた男性に何度も戻るよう警告したが、川に飛び込み逃走したため射殺した。事件後、軍関係者は射殺について「適切な措置」と説明した。(編集担当:新川悠)