「みやんち」入口の“面シーサー”と宮沢さん

写真拡大

2012年8月、沖縄市・与儀にオープンしたカフェ「みやんち STUDIO&COFFEE」にTHE BOOMのボーカルでもあり、「みやんち」のプロデューサーでもある宮沢和史さんがプレオープン後、初来店した。

【写真を見る】青空に映える赤瓦屋根

オープンして2カ月が経とうとする10月15日、店舗内では宮沢さんへのPR取材の模様を見ながらメインメニューの“カラソバ”を味わえるという、ファンにはたまらないイベントが行われた。3年かけてまだ更地だった場所を整地し、立派な沖縄風平屋を建て、県内外から訪れるお客さんの賑わいを目の当たりにしたいま、どういう心境を抱いているのか、本人に直撃した。

―――「みやんち」をこの沖縄市に決めたのはなぜですか?

宮沢:観光客の方にも来てもらいたいのですが、地元に愛される店にしたかったんです。お店を開くには、観光客の導線でもないし不利な場所かもしれないけど、近くには、大きな商業施設や、海、漁港があって色んな食材もあるし、いい場所だと思いますね。南部やヤンバルだと、ひと足伸ばした観光客メインになるけど沖縄市は、沖縄本島の中間地点とも言える場所だと思うので。僕自身、音楽の街でもある沖縄市が好きだし、沖縄市の人にも愛されたいと思います。それに、沖縄市には無いタイプのお店だと思うんです。あとは眺めですよね。軽くどこか行くついでに寄ってもらえたらうれしいですね。

―――メインメニューを「カラソバ」にしたのはなぜですか?

宮沢:八重山出身の方が僕に食べさせてくれて、「何ですかこれ?」って聞いたら子供の頃、お金がないからスーパーでこれだけ買って食べた袋に入ったソバ麺だと教えてくれました。もう少しこだわる時はチンして、醤油をかけて食べるというのが八重山にはあるらしく、これは面白いなと思って。沖縄料理で炒めるのではなく、ソバと何かをあえる事によって新しい何かが出来るかなと…創作料理ですけど、いま5種類プラス季節限定1種類あります。自分でいろいろ試しながら、イタリアンやアジアンの考え方を応用したり、いまある沖縄の物だけでなく、日本の物を合わせたりして、新しいメッセージというかこんなふうにも展開していくんじゃないか、という可能性をこのお店で実験している所もあって。これからもバリエーションを増やしていく予定です。なるべく沖縄の地の物を使っていくという事プラス、僕が音楽の旅で出会った物をここで一緒に楽しめればいいなと思います。普通はアマゾンまで行かなければ味わえない物や、一生出会う事のない物をきっと結び付けることができると思うんです。

例えば、100年以上前に日本からブラジルへ渡った移民の子孫のコーヒー農園で収穫された豆を使った「百年コーヒー」(525円)は、移民の歴史に思いを馳せて味わってもらえると良いですね。

―――宮沢さんにとっての“沖縄の良さ”とはなんですか?

宮沢:やっぱり、人間が生きていく上で喜びがないといけないし、喜びのある島に皆さん暮らしてるな、と羨ましさと憧れがあったんです。特に僕の出身は山に囲まれた所だったので羨ましく思えました。戦争などで運命を左右されてしまった負の歴史があるからかもしれないけど負の方にいったエネルギーとは逆のベクトルの元気さを感じたんです。食べることの喜び、人を愛する事の喜び、音楽を聞く喜び、踊る喜び、全部あるじゃないですか。離婚率も高いし…(笑) 言い方を変えると愛が溢れている!

数年前はこんなに豊かなものがあるのに空に抜けるような元気さが無いなと感じてて、音楽もそう、民謡もあって三味線や太鼓や、舞踊もあるのに新しいメッセージの音楽がなぜ無いんだろうって。喜納昌吉さんのチャンプルーズは新しいなと思ったけど、もっと若い世代でどうして、いないんだろう…じゃあ、俺がやろう。島唄というロックと沖縄を合体させて、中にいる人には難しい目線かもしれないけど、これが僕の目線だった。このお店もそういう目線でどっぷり沖縄料理を出すお店ではなく、沖縄らしさの微塵の陰りも曇りなくこだわって、メニューにある“グリーンカレーと沖縄そば”絶対美味しいと思えるし、沖縄の人にもハッとしてもらって、観光客の人たちにも沖縄を十分味わってもらってプラス宮沢が旅したブラジルや、これから旅をして仕入れたもので僕らしさを出していきたいですね。

―――最後に、お店のPRをお願いします。

宮沢:カラソバをお店で食べらるというのは沖縄ではここしかなく、八重山にもないはず、アマゾンのクプアススムージー(630円)などは沖縄では珍しいと思います。そういう意味では貴重な物が食事とデザート、飲み物でいっぺんに味わえるお店です。可能性が無限なカラソバを大勢の方で食べ回しながらお気に入りを見つける楽しみもあります。季節限定も含め6種類のカラソバがあり、絶対クセになるものと出会えるはずなので是非試してもらいたいです。常にアップデートしていくので、HPやインターネットを時々見るような感覚で訪れてもらいたいし、大事なものは変えずに常に変化していきたいですね。

“食べる”プラスもう一つ何かの出会いの場、文化的なものを取り入れていけたらと語る宮沢さん。今後は、店内の庭を使用して、ライブなどの計画も検討中だそうだ。

また、10月20日(土)には、読谷村にて「第1回くるちの杜100年プロジェクトin読谷」が座喜味城址公園で開催される。このプロジェクトは沖縄文化を代表する三線、その棹の原材料である黒木(くるち)を毎年植樹し、宮沢の“100年後の沖縄をくるちの杜でいっぱいにしたい”という想いから発足したものだ。当日は、宮沢本人による公開講座や、コンサートも楽しめる盛りだくさんのイベントとなっている。

宮沢さんの“音楽”“食”“沖縄愛”がぎゅっと凝縮された憩いの場「みやんち」。最高のロケーションで国内や海外の歴史に触れて新たな出会いの歴史を刻んでみよう。