試合 :キリンチャレンジカップ2012
開催日:2012年7月11日
結果 :日本代表勝利
スコア:「3−0」
得点者:宮間あや(PK) 大儀見優季 澤穂希

○ なでしこジャパン

FW:大儀見優季 安藤梢
MF:宮間あや 川澄奈穂美
MF:澤穂希 阪口夢穂
DF:鮫島彩 熊谷紗希 岩清水梓 近賀ゆかり
GK:福元美穂

FW:大儀見優季 川澄奈穂美
MF:宮間あや 大野忍
MF:澤穂希 阪口夢穂
DF:鮫島彩 矢野喬子 熊谷紗希 近賀ゆかり
GK:海堀あゆみ

FW:大野忍 丸山桂里奈
MF:川澄奈穂美 高瀬愛実
MF:田中明日菜 阪口夢穂
DF:鮫島彩 矢野喬子 熊谷紗希 近賀ゆかり
GK:海堀あゆみ


1つには、川澄はFWの方が良いのではないか、という事。確かに、川澄のドリブルの力、守備に対しての献身性、それから、サイドで起点を作る、という部分を考えた場合には、川澄をSHで、という事も有りだとは思うのですが、どうも川澄はSHでのプレーに迷っているように感じますし、また、中央での起点、それから、得点力、という部分を考えた場合には、安藤や大野のFWよりも良いように思います。

まずはサイドで起点を作ってから、しかし、そこから中央でも起点を作らなければならない。その場合には、フィジカルを活かしてポストプレーをする大儀見と、小回りが効いて技術力のある川澄と、その2人が揃っていた方が、サイドよりも厳しい中央では威力が出るのではないかなと思います。そして安藤はサイドでドリブルで相手を引き寄せ、大野は3番目のFWとして得点を取る。そういう役割分担が良いのではないかなと思います。

2つには、そのSHのプレーとして、サイドでボールを受けた後の、次のプレーのアイデア、つまり、そこからシュートもしくは得点までのイメージ、それが無いという事。SHが中でボールを受けてSBがオーバーラップ。SBからのセンタリングにFW。この形で2点目を取った訳ですが、これはもう、なでしこでは完成されている形なので、それ以外のパターンが欲しいし必要だと思います。また、SBに攻撃の多くを負担させる攻撃は、やはりリスクも高い。

従って、ぜひ、なでしこに身に付けて欲しい新たな攻撃のパターンは、SHがPA内のサイドのゾーン、そこにダイアゴナルな動きで入って行き、そこでボールを受けて得点を取る、というパターンですね。SHがボールを受けて、そこのゾーンにFWが走り込み、そのFWに対してSHがパスを出す、というパターンが多く、それよりも、FWや澤などが中で起点となり、そこにパスを出したSHがPA内のサイドのゾーンに走ってパスを受ける、というパターンですね。

もちろん、逆サイドのSHがゴール前へ、という事はやっていると思いますが、しかし、ゴール正面ではなく、PA内のサイドのゾーン、しかもそこに対して直線的にではなく斜めに入って行く、その動きをもっともっと狙って欲しいと思います。前の選手だけで得点が取れる、それに越したことはないですし、また、そこに威力があれば、更にSBが攻撃参加するパターンにも威力が出て来ると思います。

そして、3つには、SBがボールを持ってる時にFWがボールを受けに動いていない、という事。中盤を経由してからボールが来るだろう、という意識が強いためか、SBがボールを持っている時に、FWが「まだ関係無い」という顔をしているシーンが何回かありました。しかしSBは、中盤へのパスが危ないと感じた時には、やはりFWへパスを入れたいと思うものなので、FWはどこにボールがあっても、常にパスを受ける意識を持って欲しいと思います。

特に相手が、「4−4」でコンパクトな守備ブロックを作り、DFラインを高い位置へ上げているならば、味方のDFラインの選手からの一発のパスでFWが相手のDFラインの裏を取る、というのは効果的なので、これは対アメリカという事を考えても、ぜひとも1つの狙いとして、やれるようになっていて欲しいと思います。そういう意味では、大儀見という選手には、スペインのF・トーレスのような選手になって欲しいですね。

3得点したのに、攻撃の課題ばかり書く事になってしまいましたが、1つはPK、1つはセットプレー。相手の実力を考えた時に、また、なでしこジャパンの目指すところは優勝、金メダルですから、もっと個としてもチームとしても、完成度と成熟度を高めて欲しいなと思います。ちなみに、守備に関しては、やはり怖いのはロングでもショートでもカウンターだけだと思いますので、とりあえずCBの選手のリスクマネージメント、そこだけは常に高くあって欲しいと思います。