次に選挙があれば、鳩山由紀夫は落選するのではないかと思う。

自民党は五輪スケート代表だった堀井学北海道議を対立候補として公認するようだ。堀井学と言えば、後輩の清水宏保に負けて泣いていた姿しか浮かばないが、この候補がどうというより、鳩山は自滅すると思うのだ。

共同通信

民主党の鳩山由紀夫元首相は21日夜、小沢一郎元代表が新党結成に言及したことに関し「すぐに新党運動に同調していくことはない」と述べ、自身の離党を否定した。都内で記者団に語った。鳩山氏は消費税増税に慎重姿勢を示し、これまでも社会保障と税の一体改革関連法案の採決では、欠席や棄権を検討する考えを表明。この日も「私どもの考え方こそ、民主党本来のものであると執行部に理解してほしい」と語った。

小沢一郎と組んで、あれほど菅直人、野田佳彦の足を引っ張っておきながら、小沢一郎が小増税反対で離党を表明すると、それには同調しないというのだ。この人の頭の中は、どうなっているのだろう。

そもそも、民主党は2009年、鳩山由紀夫を「顔」として政権奪取を果たした。「小沢チルドレン」の力も大きかっただろうが、国民は鳩山に「清新の気」を感じて投票したのだ。

しかし、総理大臣になると、鳩山は次々とボロを出していく。

まずは「献金問題」。自身の政治団体の政治資金収支報告書に、故人名義の政治献金が記載されていたことが発覚。実際には、母親からの“お小遣い”であることがわかり、その現実離れした生活感覚に、多くの人が驚いた。

さらに「普天間基地移設問題」では、鳩山政権になると辺野古移設からグアムまでさまざまな移設案が噴出。しかし県外移設を前提に徳之島などと交渉するも失敗。さらに

「五月の末までに必ず政府の考え方を、政府の方針というものを沖縄を初め日本の国民の皆様方にも理解を求め、さらにはアメリカの皆様方にも理解を求めたものをつくる」と大見得を切ったものの、沖縄の説得もできず、アメリカにも不信感を抱かれる。社民党には連立を離脱された。

主にこの二つの問題が原因で、2010年6月に退陣した。

退陣当初は政界引退を表明するが、半年もたたないうちに言葉を翻し、盛んに後任の政権に口出しをするようになる。

鳩山は、言わば満塁の走者を残して降板した投手のようなものだ。救援投手をベンチから応援するのが筋だと思うが、この人は後続の自党政権を盛んに批判し始めたのだ。尻子玉を握られている小沢に唆されて攻撃していたのだろうが、普天間基地まで批判したのには恐れ入った。

東日本大震災では、一時期菅内閣を支援する姿勢を見せるが、すぐに小沢一郎に同調して「国民の命を十分に守ることすらできなかった」と批判。

野田佳彦内閣になってからは、消費増税に反対して小沢一郎とともに民主党を内部から揺さぶっていた。

鳩山は総理を止めてから、積極的に外交にも口を出している。本人は標榜する「友愛外交」を実践しているつもりだろうが、多くは失笑を買っている。その最たるものが、今年4月のイラン訪問だ。核開発問題を巡ってアメリカとの対立姿勢を深めるイランを、アメリカの同盟国の元首相が訪問するという事実そのものが、問題があった。鳩山は、自分の力でイランとアメリカの関係を修復させようと思ったのだろうが、大方の想像通り、イランに利用されただけに終わった。

最近は、退陣後初めて沖縄を再訪し、普天間基地移設問題を巡って迷走したことをわびたが、「今も『最低でも県外』という気持ちだ」と発言し「万死に値する」と批判された。

この人の意識の根底には「自分のやることは、すべて理解される」という認識があるのだろう。自分が思ったこと、迷ったこと、すべてが「良いように取られる」と思っている節がある。苦労もせずに今のステイタスを得た人間ならではの感覚の鈍さだ。

今、鳩山由紀夫を迎える聴衆は、支援者でもない限り、思い切り冷ややかなはずだ。しかし鳩山には、その空気が読めない。正直に、今の気持ちを話し、少し反省して見せて、最後は前向きな姿勢を見せれば、人々は賛同してくれると思っている。

「史上最低の総理」という評価があちこちに出ているが、恐らくご本人は気にかけていない。

見方を変えれば、これほど「おいしい」人間もちょっといない。突っ込みどころ満載なのだから。ただし政治の中枢に影響力を及ぼすのは、もう御免にしてほしい。

鳩山由紀夫は北海道9区を地盤にしている。しかし1億円の茶室のある自宅を持ってはいるがほとんど地元に帰っていない。もともと選挙には弱く、2000年の選挙では小選挙区では最後に当確が出た。これまでなら比例代表制で、救われる可能性はあっただろうが、今回は、惜敗率でも惨敗する可能性があろう。そもそも民主党内に踏みとどまれるかどうかも危ぶまれるが。

他人の不幸を願うのは、良い趣味ではないが、「ふつうの人」になった鳩山の、心の底からの弁明を聞きたいものだと思う。

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