まさかのピクサー神話崩壊です……Eric Charbonneau / WireImage / Getty Images

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 現地時間24日に発表された第84回アカデミー賞のノミネーションで、ディズニー/ピクサー『カーズ2』が長編アニメ賞の候補から外れたことが話題を呼んでいる。同部門が設立された第74回以降、新作がリリースされたにもかかわらず、ピクサー作品がノミネートされなかったのは今回が初めてだ。

 同部門が設けられてから昨年まで、ピクサー作品がノミネートされなかったのは新作公開のなかった第75回と第78回のみ。それ以外の8回では4年連続を含む6回の受賞を達成しており、世界最高のアニメーション・スタジオとも評される一因ともなっていた。今回、短編アニメ『ラ・ルナ(原題) / La Luna』はノミネートされたものの、『カーズ2』はまさかの落選。ピクサーの長編アニメ賞連続ノミネート記録に土を付けてしまった。

 このことにはいくつかの要因が考えられるものの、その一つはフルCGアニメの隆盛だろう。1995年に全米公開された『トイ・ストーリー』は初のフルCG長編アニメーション作品として大きな話題になり、1999年公開の続編『トイ・ストーリー2』と共に、21世紀初頭のフルCGアニメブームの礎を築いた。だが、今やフルCGアニメは珍しいものではない。他作品が同じ土俵に上がってきたことで、ピクサーの先進性は削がれてしまった。

 もう一つは、モーション・キャプチャーの存在だ。今年のゴールデン・グローブ賞を受賞した『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』しかり、アカデミー賞最有力と見られている『ランゴ』しかり、俳優たちの動きを取り込み、アニメーション作品ではより繊細な表現ができるようになった。かつてのフルCG作品が占めていた地位に、モーション・キャプチャー作品が取って代わろうとしているのだ。

 ピクサーは今年夏に『メリダとおそろしの森』をリリースした後、2013年には初めて1年間に2本の新作をリリースすることを発表している。ライバルと目されていたドリームワークス作品が2作ノミネートされているように、もはやピクサーの一強時代は終わり、アニメーションは群雄割拠の時代に入ろうとしている。今回の結果は、そのことを印象づけるものとなった。(編集部・福田麗)

第84回アカデミー賞長編アニメ賞ノミネート作品は以下のとおり。
『ア・キャット・イン・パリス(英題) / A Cat in Paris』
『チコ&リタ(原題) / Chico & Rita』
『カンフー・パンダ2』
『長ぐつをはいたネコ』
『ランゴ』

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