最多優勝を誇る“白い巨人”
 UCLの戦績においてバルセロナが台頭してきたのは近年になってからであり、それまでスペインといえばレアル・マドリーが圧倒的であった。特に、現名誉会長のアルフレッド・ディ・ステーファノが全盛期だった1950年代前半は黄金期。チャンピオンズ5連覇は、後にも先にもこの時代のR・マドリーだけだ。ただし、R・マドリーはタイトルの“固め撃ち”が目立つ。1956年からの10年間で6回優勝した後は、98年まで30年も欧州王座から遠のいた。また、97−98シーズンからの5年間で3回優勝したが、02年を最後に優勝がない。

 一方、通算優勝回数で2位のミランは、まんべんなく強さを発揮している。大会スタートから8年後の62−63シーズンにイタリア勢として初めて優勝し、イングランド勢が圧倒的強さを誇った70年代を除けば、定期的に決勝へと駒を進めている。

 国別ランキングでイングランドが3位に付けている背景には、70年代後半のイングランド勢の黄金期がある。この頃、6シーズン連続でイングランドのクラブがチャンピオンズカップ優勝を果たすなど、イングランドサッカーはまさに黄金期にあった。ところが、80年代後半に起こった2つの悲劇(ヘイゼルの悲劇、ヒルズボロの悲劇)により、イングランドのクラブは国際大会から締め出され、リーグ自体も衰退した。イングランドサッカーが再び活力を取り戻すまでに10年以上の歳月を要している。

 イングランド勢で特筆すべきは、決勝での勝率の高さ。特にリヴァプールは決勝を7度戦って5回優勝しており、大舞台での勝負強さを見せ付けている。逆に、決勝進出回数こそ多いものの優勝が少ないのはイタリアとポルトガルの両古豪、ユヴェントスとベンフィカ。いずれもファイナルを7度戦って、勝ったのは2回だけ。ユヴェントスは02−03シーズンを最後に、そしてベンフィカは89−90シーズンを最後に決勝の舞台から遠ざかっている。

◇クラブ別優勝回数ランキング
1位レアル・マドリー9回(12回)
2位ミラン7回(11回)
3位リヴァプール5回(7回)
4位バイエルン4回(8回)
4位バルセロナ4回(7回)
4位アヤックス4回(6回)

◇国別優勝回数ランキング
1位スペイン13回(22回)
2位イタリア12回(26回)
3位イングランド11回(18回)
4位ドイツ6回(14回)
4位オランダ6回(8回)
6位ポルトガル4回(9回)
※カッコ内は決勝進出回数