mixiユーザー激減騒動から日系IT企業がホメられない理由を邪推

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先週のネット界の一大トピックといえば、mixiユーザーが大幅減! というものでした。ネットレイティングスが発表したデータを基にループスコミュニケーションズ代表の斉藤徹さんが
「mixi, Twitter, Facebook, Google+, Linkedin 2011年10月最新ニールセン調査。mixiの集計方法に変更があり、推定利用者数が大幅減」
http://media.looops.net/saito/2011/11/21/nielsen_201110/
という記事を出しました。

これに対し、「やっぱりそうか!」「マイミクがあんまりアクセスしていない」「やっぱFacebook・ツイッター強い!」みたいな声がネット上では溢れました。

こういった流れを受け、mixiが「そんなワケねぇ!」と反論をしました。それがITmediaニュースに掲載された
「ミクシィ、“ユーザー激減”に反論 ネット調査会社に説明求める」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1111/25/news093.html
という記事ですね。

別にオレは両者の言い分はどうでもいいが、ここで話題にしたいのは、「mixiのユーザーは少ない。それはFacebookやTwitter、Google+に流れたからだ! やっぱFB、TW、G+すごい!」と言いたい人々がなぜいるのか、という点である。

最近オレも穏やかになってきたのであまり人に噛みつきたくもないのだが、今回の一連の騒動を受け、一つ氷解したことがあるのでここで報告する。まぁ、オレの憶測と邪推でしかないことを明記しておくが、妙に腑に落ちたのである。結論を言う。

ソーシャルメディアコンサル(個人・企業問わず)およびネット関連ジャーナリストが日系のITサービスをあまりホメない理由は、自分の食い扶持にならないから。ホメても、その日系企業の利益になるだけで、自分には得がないから。

※なぜ食い扶持にならないか・得にならないかは後述。
佐々木俊尚さんの『ニコニコ動画が未来をつくる』や上坂徹さんの『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』という本はあるものの、ツイッターやフェイスブックに関連した書籍が大量に出版されるのと比べれば、日系サービスに絞った書籍は当事者が書いたものを除き、あまりに少ない。

「そりゃ、お前、日系のIT企業は『思想』がねぇんだよ。だから取り上げる価値がねぇんだよ、エッ! 儲け主義でしかないからだよ、エッ! ちゃんと『思想』があるカヤックとかは取り上げてるだろ、エッ!」などと言われそうだが、どう考えても記事量、少なくないか?

【日系IT企業はどれだけ取り上げられているか?】

例えば、IT情報満載サイト・Techwave内で各サービスがどれだけ取り上げられているか見る。あくまでもGoogle検索の「サイト指定検索」なので、実際の記事本数とは違うが、ある程度の指標にはなることだろう。

【海外系】

Facebook site:techwave.jp/ 11300件

フェイスブック site:techwave.jp/ 254件

Twitter site:techwave.jp/ 10900件

ツイッター site:techwave.jp/ 7560件

Google+ site:techwave.jp/ 216件

foursquare site:techwave.jp/ 1130件

evernote site:techwave.jp/ 8500件

linkedin site:techwave.jp/ 449件

【日系 ※ヤフーも日系とする】

mixi site:techwave.jp/ 4730件

ミクシィ site:techwave.jp/ 1940件

mobage site:techwave.jp/ 108件

モバゲー site:techwave.jp/ 474件

GREE site:techwave.jp/ 1520件

グリー site:techwave.jp/ 245件

ニコニコ動画 site:techwave.jp/ 1130件

ameba site:techwave.jp/ 113件

アメーバ site:techwave.jp/ 87件

アメーバピグ site:techwave.jp/ 25件

yahoo site:techwave.jp/ 2000件

ヤフー site:techwave.jp/ 1010件

前略プロフ site:techwave.jp/ 1件

decoo site:techwave.jp/ 0件

ネットとかソーシャルメディア語っているのに、中高生が好きな「前略プロフ」とか、「decoo」がないってどういうことなのよ? 結局IT好きアメリカペコペコオッサンの偏った情報によって「ネットマーケ関連世論(笑)」って作られてるってことだな。

で、オレは25日夜、斉藤さんの記事とミクシィの反論を頭に入れながら、自分の「ツイッター七福神」の一人と会うために神保町をテクテクと歩いていたわけだが、そこで前出「ソーシャルメディアコンサル(個人・企業問わず)・ネット関連ジャーナリストが日系のITサービスをホメない理由は、自分の食い扶持にならないから。」を思いついた。

どう考えたってGREE、mobage、ameba、mixi、前略プロフって会員多いわけだし、ホイホイ金を使うヤツも多いのに、マーケティングの題材として記事があまり出ないのかが不思議なわけよ。「これからはアメーバピグでゲーミフィケーションキズナイイネソーシャルグラフマーケティングパブリック3.0!」みたいな記事はないよな。

ソーシャルメディアに関するコンサル(笑)をする人々が日系をかなり無視し、なぜ海外系のサービスに関し「Facebookスタートアップを支援します!」「ツイッターのツイートを代行します!」といったコンサルをするか、そして海外系の話題を取り上げるか、という理由がオレは分かった。以下三点である。

【1】日系ネット企業は、「なんか勝手にやったら怒る」と彼らは思っているし、そもそも内部の人間がサービス全体を握っているため部外者が手出しできない

【2】海外系ネット企業は基本、オープンと彼らは思っている

【3】日系ネット企業は「バカと暇人」を相手にしていると思っているため、それらサービスを紹介すると自分も「バカと暇人」の一派だと思われることを危惧している

これが理由なのだ。【1】についてだが、多分ソーシャルメディアコンサルの方々は、「“ヤフー知恵袋マーケティング”とか“アメブロ攻略マーケティング”なんて勝手にやったら、六本木や渋谷の方からいきなり内容証明送りつけられるかもしれないよな。それは面倒くさいよな。あと、広告メニューがしっかり存在しているから、オレらが食い込む余地ないよな」と思っているのだろう。さらに、それら運営会社の社員がマーケティング活用のプランを握っているが故に、外部の人間が何をやっても「亜流」になるのである。

要は「メシの種にならない」ってことだ。

【何があろうと人間は腹減るし、Hしたい。正直なんだよ】

別にヤフーだってアメーバだってライブドアだって、度が過ぎなければモノ売っても怒らないと思うのよ。現にライブドアの2chまとめブログ群なんて、アフィリエイト貼りまくりだろ? あいつら、勝手に自主規制しているんだよな。誰か“ヤフー知恵袋PR活動”をやれよ。連絡くれたらオレは記事にするぞ。

【2】については、海外系サービスの日本法人は存在するものの、純粋日系企業とは異なり規模は小さいという点がまずは重要。細かいことに内容証明送りつけるようなことをする余裕はない。さらに、グローバルな展開をしている海外企業は「オープンさ」をウリにしている部分もある。

よって、Facebookやツイッターはいくらいじっても良い、というコンセンサス的なものが存在し、コンサルの方々からすれば、「扱っても良い案件」ということになる。さらに、そういった海外系の日本法人からすれば、「ソーシャルメディアコンサルの方々が勝手にウチのサービス宣伝してくれてる! ありがとうさぎ!」ということもあるだろう。Win-Winの関係(笑)なのである。

【3】はそれだけのこと。まぁ〜、キャズム(笑)を超えた最近のツイッターもそうだが、大量の会員を抱える日系ソーシャルサービスを見ると、犯罪自慢したりウンコしたことを報告したり、違法動画をDLしたことを報告したり、バカだらけだ。

人は自分のことをバカだと思われたくないし頭良く思われたい。本当は英語なんて読めないくせに、見出しだけは取り敢えず理解し、やたらと英語の記事を紹介するヤツみたいなもんだな。でも、ネット上ではバカでもいいだろうよ。所詮は暇つぶしの場なんだからよ。それなのに、コンサルの人々は、妙にネットというツールに期待をし、人間・会社を変えると説き、ネットを使いこなせないと生き残れないと脅す。


でも、人間なんて変わんねーよ。どうせカネ欲しいし、いい女がいたらヤりたいし、仕事はさぼりたい。そんなもんよ。それなのに、ネットがあればさまざまなことが変わると喧伝する人々によりネットが妙に持ち上げられ、今回の「(旧勢力の)ミクシィ終わった! もう次の時代が来た!」的な騒動に発展するわけだな。

(海外発を中心とした)ネットサービスを持ちあげ、儲けようとしているお前ら、そろそろもう少し節操を持って色々紹介し、サービスを提供してくれよ。頼むよ。で、オレが邪推をしているんだと思ったら反論してくれ。納得できたら「あぁ、そうでしたか、私、誤解していました!」とすぐに考えは改めます。

あと、フジテレビや花王に「あなたたちは反日です!」デモしたお前ら、やたらと海外発サービスをホメるこいつらに対してデモはするなよ。「海外発サービスばかりホメるのはやめろー!」「私達は日系ネットサービスの記事が読みたーい!」とかいって。

文/中川淳一郎(ビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタント)