メジャー・リーグ専門誌「SLUGGER」10月号をお読みいただきましたでしょうか?
(まだの方はよろしくお願い致します)
そこに、ツインズが昨年春にジョー・マウアーと結んだ8年1億8400万ドルという超ド級の契約の是非について論じる記事を書かせていただきました。
ご存知のとおり、そのマウアーが故障と不調に陥り、チームも低迷という最悪の状況にあることが背景にあります。

しかしその記事の趣旨は、「(結果が全ての世界とは言え)大型契約が結果的に成功であったかどうかということと、契約に至る判断が正しかったかどうかは別物だ。将来はだれにも見通せない以上、結果は失敗だったが契約を提示した判断は間違っていなかったということはあり得る」
ということでした。
そしてもちろん私が書いた結論は、「今のところマウアーは期待を裏切っているが、判断は間違っていなかった」というものです。

それを踏まえて、ツインズが西岡剛のポスティングに530万ドルを投じ、3年総額900万ドルを提示した判断はどうだったのでしょうか?

西岡は3日のエンゼルス戦で2安打を打ちましたが、それでも今季の打率は.228です。
打率以上に問題なのが、メジャーでことのほか重視される出塁率と長打率が、ともに2割台半ばと悲劇的に低いことです。
その結果、選手の真の価値を表すとされるWARという指標では、今季メジャーでプレーした全868選手中、西岡はなんと865位なのです。

昨年まで、ジョー・トーレのもとでコーチを務めていたラリー・ボーワ(現役時代は名ショートでした)は、
「そもそもメジャーの水準に無い。よく言って控え選手レベル」と酷評しています。
理由は、「肩、スピード、反射神経、バットコントロール、全てにおいてハッとさせられるものが無い、いわばスターの片鱗が感じられない」とまで言い切っています。

しかし、ツインズが契約に至った根拠は、
「日本有数の選手で、首位打者で、ゴールドグラバーで、スピードがある。さらには日本一の球団のリーダーだ。しかも年齢も26歳」というものでした。
この材料からすると、ポスティング費用はともかく、3年900万ドルくらいは適正値に思えます。
要するに、西岡獲得の判断自体は間違っていなかったと言えるのです。

そうなると、責任の行方は長年にわたり西岡に関するレポートを提出し続けたスカウティング部門になります。
実際それは、ツインズの極担当スカウト自身による技術評価も、西岡をよく知る関係者へのヒアリングも、最高の評価だったようです。
なお、そのスカウト部門のトップは、「今は何を言っても言い訳になるので・・・」と、地元紙の取材に対しコメントを拒否しているようです。

来季は、「判断も、そのベースにあったスカウティングレポートも、結果も正しく成功だった」となって欲しいですが・・・