■U-22代表の最多輩出クラブは流通経済大学



6月19日、23日にクウェートとのアジア2次予選(ロンドンオリンピック予選)を控えるU−22日本代表。1日にU−22オーストラリア代表との親善試合を戦うため、27日に関塚隆監督が23名のメンバーを発表した。最多選手輩出クラブは川崎(安藤駿介、實藤友紀、登里享平)、C大阪(扇原貴宏、清武弘嗣、山口螢)、そして流通経済大(増田卓也、比嘉祐介、山村和也)の3チームで各3名。今月愛知県豊田市で行なわれたトレーニングキャンプ時には、清武、登里が招集されていなかったため最多輩出クラブは3名の流通経済大が単独1位だった。



この現実を見て「流通経済大、大学サッカー界には良い選手が揃っている」という感想が出るのかもしれないが、流通経済大や大学サッカー界の選手レベルや育成力の高さを評価した上で私は日本サッカー界が抱える歪な育成環境を見た気がする。例えば、永井謙佑(名古屋)が福岡大在籍当時の2010年2月にオサスナのカンテラ(下部組織)に練習参加した際、こんなことがあった。通訳として帯同した私がオサスナの強化部長に「永井はすでにA代表デビューを飾っている」と話すと、「何でアマチュアの大学チームに代表選手がいるんだ?日本のサッカーはどうなっているんだ?」と質問された。


■アマチュアに代表選手がいる歪な育成環境


選手のレベルに応じてチームやリーグ戦環境がピラミッド型に用意される欧州から考えると確かにA代表選手がアマチュアチームでプレーしていることは考えられないというよりも有り得ない。だから、今回のU−22日本代表に大学チームから3名もの選手が招集されていることを欧州のサッカー関係者に説明すれば、再び「何でプロクラブでプレーしていないのだ?プロクラブは何をしているんだ?」と聞かれるに違いない。


高校2年生で鹿島と仮契約をした柴崎岳についても然りで、なぜプロが高校2年生の時点で獲得したいとなったタイミングでプロに行けない、行かないのか。義務教育ではない以上、本来は高校2年生であろうが、大学3年生であろうが卒業を待たずにプロに行くことができるはずだ。結論を先に言うと、学校に卒業を待たずして選手を送り出すだけのメリットがないからだ。例えば、流通経済大が昨年、3年生時にA代表デビューを飾った山村和也をその時点でプロに送り出した場合、メリットがないどころか、育成費が減額となるデメリットがある。


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■著者プロフィール




小澤 一郎

1977年、京都市生まれ。サッカージャーナリスト。スペイン在住歴5年を経て、2010年3月に帰国。スポナビ、footballista、サッカークリニック、サッカー批評、サッカー小僧、ジュニアサッカーを応援しよう!などで執筆中。
著書に『スペインサッカーの神髄』(サッカー小僧新書)がある。また、「まぐまぐ」より、メルマガ『小澤一郎の「メルマガでしか書けないサッカーの話」』を配信中。



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