■ グループリーグ最終節

ACLはグループリーグの最終節を迎えた。初めてアジアの舞台に挑戦しているセレッソ大阪は、ここまで3勝2敗で勝ち点「9」。勝ち点「7」で3位の山東魯能に勝つか、引き分けると、初のグループリーグ突破が決定する。

ホームのC大阪は<4-2-2-2>。GKキム・ジンヒョン。DF高橋、茂庭、上本、丸橋。MF中後、キム・ボギョン、乾、清武。FW小松、ホドリゴ・ピンパォン。MFマルチネスは出場停止。FW小松は今シーズン初スタメン。FW小松はJ1の第10節のベガルタ仙台戦でロスタイムに同点ゴールを決めている。

15:00キックオフで行われた首位の全北と、4位のアレマ・インドネシアの試合は、ホームの全北が6対0で圧勝したため、全北は勝ち点「15」となってグループ首位通過が決定。2位を賭けた直接対決となる。

■ セレッソが圧倒

雨の中で行われた試合は、序盤から「引き分けでもOK」のC大阪がペースをつかむ。2トップの一角で初先発のFW小松が積極的に裏のスペースに飛び出して攻撃を活性化させる。山東魯能はC大阪の選手のスピードについていけずにファールが多くなって、C大阪はセットプレーが多くなる。

押し気味ながらもなかなかゴールが奪えなかったC大阪だったが、前半39分に待望の先制ゴールを奪う。FWホドリゴ・ピンパォンが右サイドでボールを持ってミドルシュートを放つと、これは相手のGKに防がれるが、こぼれたボールを拾ったDF丸橋が左足でロングシュート。これも同じようにGKがセーブするが、ゴール前にこぼれてしまうと、いい位置にポジションを取っていたFWホドリゴ・ピンパォンが頭で押し込んで待望の先制ゴールを奪う。FWホドリゴ・ピンパォンはACLでは4ゴール目。その後も、C大阪はチャンスを作ったが決められず。前半は1対0でリードして折り返す。

後半開始から山東魯能が前掛かりに来て「反撃開始か?」と思われたが、すぐにボールを奪ってカウンター。FWホドリゴ・ピンパォンが右サイドを突破してファーサイドにクロスを送り、FW小松が中央に折り返すと、飛び込んできたMF清武が落ち着いたコントロールから貴重な2点目を挙げる。MF清武もACLは2試合連続ゴール。

これで圧倒的に有利になったC大阪は、後半28分にもカウンターからMF乾が決めて3点目。これで、ほぼ勝ち抜けを決定させると、後半36分にも途中出場のMF倉田が決めてダメ押しの4点目を挙げる。結局、4対0でC大阪が勝利。グループ2位となって、見事に勝ち抜けを決めた。

■ 初のベスト16入り

勝つか、引き分けるかでグループリーグ突破が決まる大一番に勝利したC大阪がベスト16入りを決めた。これで決勝トーナメントの1回戦で、G大阪の所属するグループEの首位チームとアウェーで対戦することが決定した。グループEの最終戦は5月11日(水)に行われるが、G大阪がホームで天津泰達に勝つとG大阪が首位通過となるので、大阪ダービーが実現する。

C大阪はJ1では4試合を終えて1敗3分けと未勝利であるが、ACLでは4勝2敗。ホームの長居スタジアムで行われた試合は3戦全勝で乗り切ったことが大きかった。クラブとしても初のアジアの舞台であり、インドネシアのアレマ・インドネシアと同じグループになるなど、タフな戦いが続いたが、何とかノルマを果たすことができた。あとは失うものはないので、思い切って戦ってほしいところである。

■ 2トップへの変更が大成功

MFマルチネスが出場停止だったこともあって、クルピ監督はFW小松とFWホドリゴ・ピンパォンの2トップを選択。これが成功し、FW小松にはゴールは生まれなかったが、いい動きを見せて山東魯能のDFを翻弄した。最後のところでの精度を欠いてしまったのは課題であるが、十分に合格点といえる内容だった。

1トップ役から解放されたFWホドリゴ・ピンパォンは、貴重な先制ゴールを奪っただけでなく、縦横無尽に動いてチャンスメーカーとしても機能した。FW小松が相手のターゲットになって、FWホドリゴ・ピンパォンの負担が減ったのも大きく、やはり、フォワードの近くで自由にプレーさせた方が、FWホドリゴ・ピンパォンはいい動きを見せる。この試合の活躍は「助っ人」にふさわしいものだった。

■ MFキム・ボギョンが活躍

MFマルチネスが出場停止となったが、その穴は韓国代表のMFキム・ボギョンが完璧に埋めた。なぜか、相手に削られるシーンが多く、ピッチに倒れ込むシーンが再三見られたが、怪我もなかったようで、90分に渡って素晴らしいパフォーマンスを見せた。この試合のMOMを選ぶとしたら、MFキム・ボギョンか、DF上本のどちらかで間違いないところである。

MFキム・ボギョンは、MF倉田、MF乾、清武と比べると、器用さには欠けるので、3シャドーの一角に入ると、感覚が合わないシーンが多く、持ち味を発揮しきれないが、ボランチに下がると、「球際の強さ」や「トラップの正確さ」、「ショートパスの精度」など、持ち味をフルに発揮することができる。MFマルチネスも左利きなので、ダブルボランチを二人とも左利きの選手にするのはどうか?というところもあって起用方法も難しいが、今の段階では、ボランチでプレーした方がはるかに高いレベルのプレーができる。

また、今後、FW小松とFWホドリゴ・ピンパォンを2トップで起用する可能性が出てきたので、「3シャドー」でなくて「2シャドー」に変更となるが、2シャドーになれば、周りにスペースもできるので、MFキム・ボギョンが2列目に入ったとしても、フィットできるような気はする。いずれにしても、「現役の韓国代表」という看板に偽りなしのプレーを見せてチームの勝利に大きく貢献したといえる。

■ MF清武、MF乾、MF倉田が追加点

C大阪は守備も安定していたので、山東魯能はほとんどチャンスを作れなかった。そのため、FWホドリゴ・ピンパォンが先制ゴールを決めた時点で、突破の確率はかなり高くなっていたが、後半の3ゴールも効果的で、いずれもいい時間にゴールが決まり、最後はイケイケの展開になった。

追加点のゴールを決めたのはシャドーの3人であるが、C大阪はシャドーの得点力に問題を抱えており、チャンスを逃すシーンがACLでも、リーグ戦でも多かったので、3人が大きな舞台でゴールを決めたというのは、今後にもつながるものであり、本人たちも乗っていけるはずである。

特に、開幕戦の大阪ダービー以降、ゴールチャンスがありながらも、逃し続けていたMF倉田にゴールが生まれたのは大きく、MFキム・ボギョン、FW永井も含めて、高いレベルでポジション争いをして切磋琢磨してほしいところである。

■ メモリアルな一日

クルピ監督が試合後に語っていたとおり、ほぼ完ぺきな試合であったが、悔やまれるのは、キャプテンのDF茂庭がイエローカード受けて次の試合が出場停止になることである。

すでに、この段階で3対0とリードしており、相手のファールは悪質だったので抗議したくなる気持ちも分かるが、もったいないイエローカードだった。今シーズンのDF茂庭は、素晴らしいプレーを続けており、C大阪にとっては、もっとも代わりのいない大事な選手である。おそらく、DF藤本がスタメンに入ってくると思うが、負けないパフォーマンスを期待したいところである。

他には、サイドバックのDF高橋大とDF丸橋のところでパスミスが目立ったのも気になるところであり、サイドバックがパスミスすると、相手のカウンターに直結してしまう。カウンターへの対応が十分にされていないので、気を付けたいところである。

ただ、問題はそのくらいであり、トータルスコアも4対0。終盤に出場したFW永井龍やMF山口蛍も積極的なプレーを見せてチームに勢いを加えた。2009年にJ2で2位になって、2010年はJ1でいきなり3位に入ってACL出場権を獲得。2005年シーズンなど、これまで、あと一歩のところで栄冠を逃し続けてきたセレッソ大阪というクラブにとって、この日は、これまでの努力が実ったメモリアルな一日となった。

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