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コンサドーレ札幌   評価 D+

 → 今オフは、MF藤田、MF上里、DF西嶋という主力級が抜けたことに加えて、新潟にレンタル移籍していたDF西も鹿島への完全移籍が決定。MF藤田、MF上里、DF西といった数年前から期待されていた北京世代の3人がチームを離れることになってチームは変革期を迎えた。守護神のGK高原も怪我で長期離脱中で、DF藤山、DF石川らDFラインの選手も退団が決定。レギュラー陣は総入れ替えとなる可能性もある。

ただし、退団した選手の中で「絶対に必要。」という存在がいないことも事実。DF西を含めて、彼らをチームの軸に育てきれなかったことは、将来を考えると「致命的なもの」になりかねないが、先のことに目をつぶって「今シーズンだけ」に話を限定すると、大幅な戦力ダウンというわけでもない。よって、穴埋めはそこまで大変ではないだろう。

新加入選手組で即戦力となるのは、MF河合(横浜FM)とDF日高(鳥栖)。DF日高が怪我のため開幕に間に合わない可能性が出てきたのは誤算であるが、二人とも経験のある選手なので、波の激しいチームを変えるかもしれない。新外国人のDFチアゴはJ2でのプレー経験もあって、DFラインの軸となることが期待されるが、京都時代のプレーを見ると、ちょっと厳しいかもしれない。

最大の問題はストライカー。2010年は36試合で37ゴールと、攻めていながら決めきれずに勝ち点を落とす試合が多かった。しかしながら、今オフの入れ替えはFWキリノを放出したくらいで、即戦力クラスの補強はない模様。FW内村、FW近藤に期待するしかないのが現状である。2008年に徳島ヴォルティスでプレーした新外国人選手のMFアンドレジーニョは小柄ながらテクニックのあるいい選手ではあるが、補強ポイントがそこだったかというと疑問である。




水戸ホーリーホック   評価 E+

 → 財政難のため、Jリーグの「公式試合安定開催基金」から3000万円の融資を受けることになった。したがって、人件費に多くをかけられない状況。今オフは、FW片山、MF大橋らレギュラークラスの選手を戦力外にし、さらに、DF大和田、DF中村、DF作田、DF藤川といったDFラインの選手も軒並みチームを去った。監督も交代し、どんなスタメンになるのか予想するのも難しい状況である。

補強は大学生が中心。注目は順天堂大学から加入するFW岡本で、ジュビロ磐田でプロ経験のあるストライカーである。磐田では出場機会に恵まれなかったが、リベンジを期してプロの世界で再スタートを切ることになる。ここ数年、積極的に大学生を獲得しているが、MF荒田、MF菊岡ら成功率も高いので、大卒選手からブレークする選手が出てくることを期待したい。とはいっても、やはり、大学生は未知数であり、低評価せざる得ない。即戦力となるのはDF尾本(草津)、DF岡田(栃木)の二人。ともにサイドバックのレギュラー候補である。最大の問題はセンターバックで、軸となっていたDF大和田が抜けたのは致命的で、全く穴が埋まっていない。

水戸は同じ県内に鹿島アントラーズがあって、他のクラブと比べても難しい状況にある。移籍システムが変更になったことの影響をモロに受けているチームで、選手を育ててもすぐに引き抜かれる状況が続いている。昨年に続いて、厳しいオフになっている。




栃木SC   評価 A-

 → クラブの財政状況や格を考えると、これ以上ないほど効果的な補強ができたといえる。大黒柱のFWリカルド・ロボとMF水沼宏太が残留し、さらに2009年にチームの中心として48試合で13ゴールを挙げたMF河原(新潟)をレンタルで再獲得。FWチェ・クンシク、FW廣瀬を含めてタイプの異なる選手が揃っており、アルゼンチン人のFWトリポジが本物であれば、昇格レースに加わって来なければおかしいほどの攻撃陣と揃った。

DFラインでは、水戸の中心だったDF大和田を獲得したのも大きい。189?と絶対的な高さを誇る選手で、これまではDFラインに高さがなかったので「高さ不足」という弱点を補って余りある効果的な補強といえる。不安なポジションはボランチとゴールキーパー。MFパウリーニョの相方が誰になるのかが決まっておらず、絶対的な存在はいない。GKも同様である。

いずれにしても、松田監督になって3年目のシーズンで、チーム史上最高の戦力になっている。躍進のシーズンとなった2010年は終盤に失速して10位に終わったが、今シーズンはさらに上を期待できる戦力である。




ザスパ草津   評価 C+

 → 2007年にアビスパ福岡で39試合で16ゴールを挙げたFWリンコンを獲得。これで、FWラフィーニャ、FWアレックスと能力の高いブラジル人ストライカー3人が揃った。J2では「外国人枠」を埋めきれないチームが多い中、意欲的な補強といえるだろう。他にも、FW後藤、FW萬代という選手もいて、彼らをどう組み合わせるかが最大の注目ポイントといえる。

懸念されるのは中盤。2010年シーズン終盤の快進撃を支えたU-19日本代表のMF菊池が湘南に復帰し、MF広山も退団。MF松下、MF櫻田、MF熊林らは健在であるが、層が薄くなっており、怪我人が出ると一気に戦力がダウンとなる。少ない予算の中で、守備力の高いボランチが獲得できると効果的であるが・・・。

ここ数年、安定していないDFラインは、水戸から長身のDF中村を獲得。最終ラインから丁寧につなぐサッカーを見せるチームであり、ビルドアップ力も求められるので、レギュラーに定着するかはまだ分からないが、長身のセンターバックがいなかったので、186?の高さは魅力である。まだまだ、守備に不安はあるが、攻撃にタレントが揃ってきた。2010年の終盤の勢いを新シーズンにもつなげたいところである。




ジェフ千葉   評価 B-

 → 何といっても204cmのFWオーロイに注目が集まる。ノルウェー代表の経験があって「204?」という身長はJリーグでは未知のゾーンである。J2レベルでは無敵の強さを発揮するのか、意外と対応されてしまうのか、とにかく楽しみな選手である。

FWオーロイの加入は面白いが、一方で、FWオーロイの加入は「江尻スタイル」を諦めて「欧州路線」にシフトチェンジすることを意味する。「ミラー体制」から「江尻体制」になって方向が転換し、さらに「江尻体制」から「ドワイト体制」で、また方向が180度変更されたことになる。大幅なチェンジは「ビジョンがない。」と批判されても仕方がない。とにかくFWオーロイ次第であり、彼が負傷等で戦列を離れることになると、大ピンチとなる。

また、ダブつき気味だった中盤は、MF谷澤、MF倉田、MF工藤、MF中後が退団。オランダ人で192cmのMFゲッセルを獲得したが、今度は層が薄くなってしまった。MF米倉、MF深井、MF太田あたりがシーズンを通して怪我なくプレーできないとFWオーロイの高さを生かせなくなる。

守備陣では名古屋で出場機会に恵まれていなかったDF竹内を獲得。右サイドバックになるか、センターバックになるか分からないが、効果的な補強である。また、横浜FCからロンドン世代で屈指のGKである大久保を獲得。ここ数年、GK岡本とGK櫛野の二人で激しいポジション争いを行ってきたが、GK大久保で固定されると将来を考えても大きい。




FC東京   評価 A+

 → 2010年はMF米本の離脱の穴を埋めきれずにまさかの降格となったFC東京は、1年でJ1に復帰するためになりふり構わない大補強を行った。目玉となるのはMFホベルト。Jリーグでの実績は十分で、MF米本とダブルボランチを組むことになったら、中盤はスキがなくなる。

補強の特徴は、J2のライバルクラブから選手を引き抜いていることであり、MFホベルト(横浜FC)のほかにも、MF谷澤(千葉)、MF上里(札幌)、FW高松(大分)を獲得している。また、出場機会が少なくなりそうなFW重松、MF幸野、DF平出といった10代の選手をレンタルで貸し出しているのも、先を考えるといい判断といえる。FW大黒、MF松下らが抜けているが、J2レベルを突き抜けた戦力となっている。

補強自体は全く問題ないレベルであるが、あえて不安材料を挙げると、選手を集めすぎていることであり、うまく出場時間を振り分けて、不平・不満が出ないようにできるかどうかが不安。特に、FWペドロ・ジュニオールあたりは、おとなしくベンチに座っている選手ではないので、どう扱うか。適度に怪我人が出たらうまく回せそうであるが、怪我人が出なかったら、不協和音が聞こえてきそうなほどメンバーが揃っている。戦力補強としては申し分ない。




東京ヴェルディ   評価 B+

 → スポンサー問題も解決し、久々に積極的な補強を行った。注目はFWマラニョン(甲府)。勝負弱さに定評はあるが、シーズンを通して出場できれば15ゴール以上は期待できる前線の核である。スピードのある突破でチャンスメーカーにもなれるので重要な戦力になるだろう。他にも、FW市川(大宮)、FW平繁(広島)を獲得しており、FW高木俊の抜けた穴は埋められるのではないだろうか。

不安材料はゲームメーカーのMF柴崎の抜けた穴で、現時点では埋められていない。ショートパスをつなぐサッカーで試合をコントロールする重要な役目を担っていたので、同じような仕事のできる選手を見つけなければならないが、MF河野、MF高木善、MF菊岡、MF飯尾ら2列目に能力の高いアタッカーが揃っているので、「守備力」と「バランス」を重視して、守備的なダブルボランチとなる可能性もある。

一方、守備陣は、GK土肥、DF土屋というベテランが健在で、大崩れすることはないだろう。その上、サイドバックにはDF森(川崎F)が加入し、サイドアタックの強化が期待される。チーム消滅の危機を乗り越えて、ムードは非常にいいので、昇格候補の1つといって間違いないだろう。




横浜FC   評価 S-

 → FWカイオを完全移籍で獲得し、大宮からストライカーのFW藤田もゲット。さらに、2005年にセレッソ大阪で獅子奮迅の活躍を見せたMFファビーニョを獲得。MFファビーニョが当時のレベルを維持していれば「3位以内に入れないとおかしい。」と思えるほどのメンバーが揃った。

2トップはFWカイオとFW藤田が濃厚。ともに長身で、運動量があって、献身的なスタイルの選手。J2での実績も十分で、J2で最高の2トップといえる。控えにも、FW難波、FW西田、FW三浦知が控えており、質・量ともに充実した。パンチ力不足の感があった中盤もMFファビーニョが加わったことで厚みが出てきた。MF寺田、MF武岡らが、もう1ランク上の存在になれると、チームにとてはありがたい。

DFラインは、DF飯尾、DF藤田、DF宮崎、DF中野らを加えてレベルアップを図った。新加入組が多いが、鳥栖で一緒にプレーしていた選手も多く、コンビネーションという意味でも不安は少ない。

賛否両論がある「岸野式の補強」であるが、これだけ人を惹きつけることができるというのは、やはり何か特別なものを持っているのだろう。岸野監督は強力なメンバーを率いて悲願の昇格を果たすのか?もし、昇格を逃すようだと、チームがバラバラになる可能性もある。横浜FCにとっては重要な一年となる。




湘南ベルマーレ   評価 B-

 → 中盤は、2009年のJ1昇格を支えたMF田村が引退し、MF寺川、MF永田も退団。チームリーダーのMF坂本を除くとフレッシュな顔ぶれとなった。中央大出身のMF永木、草津からレンタル復帰したMF菊池らが加入し、20歳のMFハン・グギョンを含めて可能性のある選手が揃ってきた。中盤の3つのポジションを誰が奪うのかに注目する必要がある。攻撃の中心はチームに戻ってきたFWアジエル。2010年は怪我のため全休となったFWFアジエルが復帰したのが最大の補強といえる。FWアジエルが入ることで周りの選手も能力を引き出されるだろう。

不安なのはセンターバック。DFジャーンが退団し、DF村松も清水に移籍。DF大井(磐田)を獲得したが、不安いっぱいのポジションで、ここが安定しないと昇格レースから取り残されることになる。ここ数年、ウイークポイントになっていた左サイドバックはDF石神(C大阪)を獲得。「4バックのときのDF石神は守備面で危なっかしい。」というイメージはあるが、タフな選手でJ2での経験もあるので、レギュラーにおさまるだろう。

残った問題は「誰が点を取るか?」ということ。FW阿部が甲府に移籍し、FW田原、FW中村、FW佐々木(鹿島)、FW巻佑樹(名古屋)らフォワードの候補は多いが、決め手には欠ける。出場機会を求めてチームにやってきたFW佐々木やFW巻がどの程度できるだろうか?トータルで見ると、メンバーはかなり変わったが、若くて才能のある選手が揃ってきた。FWアジエルも復帰してきて、再昇格を狙える戦力になっている。今オフはいい補強ができている。




カターレ富山   評価 D-

 → JFL時代からチームを支えてきたGK中川、DF濱野、MF長山、MF上園、FW長谷川らが揃って現役を引退し、チームは大きく生まれ変わろうとしている。J2に上がってからは怪我に泣かされ続けたFW長谷川満を除くとレギュラークラスでプレーしてきた選手なので、戦力ダウンは必至。J2に上がってきた時点で、YKK組とアローズ北陸組には区切りの年数があったと思われるため、あらかじめ想定していたことと想像できるが、これだけ一気に主力級が抜けるとチーム作りは大変である。

加入が決まっているのは、新卒を除くと、FW大西(甲府)、DF池端(甲府)、DF吉川(愛媛)、DF平出(FC東京)といったところ。この中で期待されるのは、甲府から加入したFW大西とDF池端の二人。安間監督のサッカーも熟知しており、レギュラーで起用される可能性は高い。FW大西のプレイスキックはJ2では上位レベルなので、セットプレーからのゴールが増える可能性は高い。

また、FC東京からレンタル移籍してきたDF平出は、2010年のU-19アジア選手権ではセンターバックでプレーしていた選手で、ユーティリティー性が持ち味。どのポジションでもプレーできる。FC東京では出番がなかったが、新天地でチャンスをつかめるか。3バックとなることが濃厚なので、フィード力があるDF吉川にもチャンスはあるだろう。現状では、抜けた選手の穴が大きくて、プラスマイナスで言うとマイナスとなるが、MFソ・ヨンドクら才能を評価されている若手選手もいる。<3-3-3-1>という特異なシステムでリーグに旋風を巻き起こしたい。

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