「広い、綺麗、トイレバス別」 不況下で話題の「ルームシェア」
マンションの部屋を友人とシェアする「ルームシェア」が今、脚光を浴びている。未曾有の不況下ともあって、紹介ブログがネット上で話題になっている。もちろん、トラブルもあるようだが、ちょっとした贅沢気分が味わえるのが魅力というのだ。
「ルームシェア可と謳ってない物件でもかなり受け入れてくれる」
「アパートじゃないところがミソ。マンションまじ良いよ」
こんなフレーズでルームシェアを紹介した「はてな匿名ダイアリー」のブログが話題になっている。その2009年1月4日のエントリーでは、一人でアパートに住むより良い点として、「広い、綺麗、トイレバス別、新しめの自動湯沸かし・保温付いてる」「シンク広い。ゴキブリでない」などを列挙。また、管理人がゴミや荷物受け取りまで面倒を見てくれたり、給料が少なくても毎月貯金ができたりするメリットがあるとする。
さらに、精神面のメリットも強調。きつい仕事から帰ってきて相手がいるとホッとし、休日は馬鹿話を肴に飲んだりできるとしている。
新卒1年目でマンションに住めたのは、2人のシェアだからだとも。住んでいるのは、新宿まで電車で15分、家賃10万円、2LDKの賃貸物件。この不況下で、「ルームシェア可と謳ってない物件でもかなり受け入れてくれてる」と言う。
欧米などの留学先では、一般的なルームシェア。日本でも、増えてきているのだろうか。
日本で最もアクセスが多いというサイト「ルームシェアジャパン」は、開設当初の2004年に比べ、現在は20倍もの月間100万ページビューに増えた。また、交流を重視するシェア形態のゲストハウスは、民間のサイト「ゲストハウス白書」によると、そのベッド数が05年に比べ2.4倍にも達している。正確には分からないが、増加傾向にはあるようだ。
ルームシェアジャパン運営者の秋祐樹さんは、まだ不況の影響はそれほど出ていないとしながらも、「不動産業者は嫌がっていますが、物件が売れず借り手が強くなっています。ルームシェアは、今後も増えていくと思います」と話す。
漫画「NANA」やドラマ「ラスト・フレンズ」の影響
なぜ、日本でもルームシェアが人気となったのか。
ルームシェアジャパンの秋祐樹さんは、こう話す。
「一番大きいのは、メディアの影響だと思います。映画化された漫画『NANA』や昨春のフジテレビ系ドラマ『ラスト・フレンズ』でルームシェアを知り、『そういう暮らし方があるのか』と関心を持つ人が増えてきました」
シェアするマンションの相場は、都内なら10〜30万円ほどで、3〜4人で住むこともあるという。年齢は20〜30代が多く、男女に偏りはあまりないとも。地域は、関東やアメリカ文化の影響が強い沖縄で多いとしている。
ネット上で、「ルームシェア」と検索すると、いくつか情報サイトが出てくる。
「3LDK 20,000円 タワーマンション・最上階の個室を2部屋同時募集」
そのうちの一つ「ルームメイト・カフェ」には、こんな格安な情報が載っていた。このケースの場合、42歳の男性が横浜市内で10か月限定の条件でシェア希望者を募っている。また、自営業の32歳男性は、東京・北区のマンションを女性限定で募集し、25歳女性から「個室には鍵がちゃんとついてますか?」といった質問が寄せられていた。
また、ルームシェアジャパンを見ると、男性が東京・赤羽のマンションの入居者を募り、「派遣切りにあわれた方を限定で一週間程度の期間だけですが、宿泊場所を提供できたらと思います。以前に、男性を泊めてトラブルがあったので女性限定とさせていただきます」とうたっていた。ルームシェアには、様々なニーズがあるようだ。
もちろん、トラブルもある。秋さんは、「相手に『こうしてほしい』『イヤだ』と言えない日本人が多いので、結果的に仲が悪くなって共倒れになっています。十分な予備知識を持ち、自立していることが大切です」と話している。
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