華麗なボールさばきで相手DFを振り切る中村俊輔。(photo by Kiminori SAWADA)

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 4月下旬に千葉で行なわれたトレーニングキャンプに、岡田監督は28人の選手をリストアップした。そのなかには、寺田周平、長友佑都、香川真司らが含まれていた。高木和道と赤嶺真吾も、追加招集でチームに合流した。その一方で、中澤佑二、高原直泰、羽生直剛、鈴木啓太らが、体調不良やケガで参加を辞退している。
 
 ACLに出場しているガンバ大阪と鹿島アントラーズの所属選手を除いたメンバーで、話題を集めたのは香川の招集だった。内田より年下で、J2のセレッソ大阪に所属する19歳の代表候補入りは、各方面に驚きをもたらしただろう。
 
 この合宿ではもうひとり、その後の試合でキーパーソンとなる選手がリストアップされていた。田中マルクス闘莉王である。岡田監督就任後はケガなどもあって招集が見送られてきたセンターバックは、ここからチームに加わっていった。

「一カ月後の合宿には、海外組も入ってくる可能性はもちろんある。今回は10人くらい呼んだことのない選手を呼んでいますが、(次も選ばれる選手は)1、2人という人数ではない。もっと入ってくると思う」

 会見場と呼ぶには手狭なスペースでマイクに向かった岡田監督は、3日間の合宿を終えてこんな話をしている。果たして、1か月後のキリンカップへ向けたメンバーには、寺田、長友、香川らに加え、中村俊輔、松井大輔、長谷部誠の海外クラブ所属選手も招集された。

 4月の合宿に参加しなかった井川祐輔も、ストッパーとしての資質を評価されての初選出となった。オシム・チルドレンがジワジワと減り、岡田監督の色が強まっていく。

 フレッシュなタレントが新たな息吹を吹き込んでいく過程で、チームを去っていく選手もいた。キリンカップのメンバー発表をまえにして、加地亮が代表引退を表明したのである。2月のタイ戦後に引退を発表した坪井慶介に続き、ドイツW杯に出場した黄金世代がまたしても代表のユニホームを脱いだのだった。それもまた、岡田監督のチーム作りが進んでいく過程のひとつだった。

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