試合後、自分達の攻撃に怖さがなかったと語った大久保<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 またしても数多いチャンスをつくりながら、得られた点は1点のみ。そして、カウンターからの失点と、バーレーン戦やUAE戦と同様の形で試合を終えた。

 試合開始早々からウズベキスタンは激しいプレスをかけてきた。
「相手のプレッシャーは感じたし、それに合わせてしまったところがあった」と玉田圭司が振りかえるように、日本は相手の勢いを受けるような状態で試合に入った。徐々にマイボールの時間が増え、パスを繋ぐ回数も増加したが、相手を崩しきる効果的な縦パスに前線の選手が合わせられなかった。

 玉田と縦の関係を作る2トップの大久保の二人のFWが、パスに間に合わないという場面もあった。
「コンパクトに戦うために、FWは少し下がった位置からスタートし、相手のDF二人と同数の形でパスを受けなくちゃいけないから、なかなか難しいものがある。2トップが走りながらパスを出す形になるので、パスが流れ気味になっていた。どちらかのFWがDFを背負って、腰で踏ん張るとか、そういう形があってもよかったのかもしれない」と中村俊輔は試合後、振り返った。

 前半27分、闘莉王の中途半端なクリアボールが相手に渡り、最後はシャツキフがゴールへとボールを押し込み、失点を喫してしまう。残りの時間、何度も何度もウズベキスタンのペナルティエリアへと日本は攻め入るが、ゴールは決まらない。前半40分、大久保のスライディングで折り返したボールを玉田が決めて同点に追いつくのが精一杯だった。

 後半も攻める日本、守りを固めカウンターを狙うウズベキスタンという形で試合が進むが、前半から攻め続けていた選手達は徐々に疲労の色が濃くなり、ミスも目立つようになってきた。
「相手はプレスをかけてくるとは思っていた。その中で足下でつなごう、つなごうとして、ボールを取られリズムが作れなかった。プレッシャーをかけてくる分、ディフェンスラインの前にスペースができるので、そこを狙おうとしていた。相手は4バックだったので、サイドが空いてくるのはわかっていたが、サイドチェンジに時間がかかってしまった」と長谷部誠は攻撃の組み立てがスムースに行えなかったと語った。

 先発した香川真司や内田篤人、そして後半17分、大久保に代わり出場した岡崎慎司、後半37分に登場した興梠と若い選手たちは奮闘したものの、やはりA代表相手に自分の良さを見せるまでには至らなかった。当たりの強さなどに戸惑っているシーンもあった。

 後半35分くらいから、闘莉王が前線に立ち、途中出場の稲本潤一がDFラインに入るなどパワープレーで逆転ゴールを狙ったが、逆に相手のカウンターに危険な場面が何度かあった。闘莉王のヘディングシュートも効果を発揮したが、ゴールキーパーの好セーブに阻まれ、試合は1−1で終わった。

「勝てなかったのは残念だけど、自分たちの形は作れた。あれだけのハイプレッシャーの中でそういう形を作れたことはよかったと思う。あとは本当に細かいところだけだから。修正するのは簡単だと思う。先はまだ長いんだし、ゆるぎないものがあることが大事」と中村俊は、前向きに考えていくべきだと試合後、繰り返し話した。「今、やっているサッカーに間違いはない」とも付け加えた。

「アジア予選ではリスクを犯さず、結果を求めることが重要だった。でも世界ではそれだけでは勝てない。リスクを犯すプレーも必要だから」と、アジア予選とワールドカップとの違いを元日本代表の福西崇史が話していた。堅実にアジア予選を突破するサッカーと、ワールドクラスと対等に戦うサッカーは違うというのだ。

 相手にボールを奪われたら、攻守の切り替えを早くしてボールを奪い、そこから早く攻める。岡田監督が何度となく話している日本代表のスタイル。前線から始まる守備もジーコジャパンには見られなかった形であり、その結果、DFラインも高いものとなる。ジーコ時代のDFラインは深く、プレスをかける位置で最後までチームは揉めた。前から行こうと考える中田英寿とディフェンス陣との意見の衝突も少なくはなかった。