【気になるトレンド用語】ノキアのケータイOSオープン化って何がすごいの?
世界的な携帯電話メーカーのノキアが、Symbian OSに関するすべての権利を取得し、オープンソース化することを発表しました。世界のモバイル業界にとって、今年最大のニュースとまで言われています。
このニュースがなぜ、モバイル業界にとって今年最大のニュースなのでしょうか。
今回は、ノキアによるSymbian OSのオープンソース化についてみてみましょう。
■そもそもOSとは何なのか
まず今回のニュースの話題の一つ、OSについてみてみましょう。
OSというのは「Operating System」の略で、ハードウェアとソフトウェアの受け渡しをする重要な役割を担う基本ソフトウェアです。パソコンでいえば、「Windows」シリーズや「Mac OS」シリーズが、代表的なOSです。
パソコンでは、「Windows」や「Mac OS」のようなOSがなければ、どれほど性能のよい部品を搭載していても技術者でない一般の人には使うことができません。
最近話題となっているiPhoneやスマートフォンと呼ばれるケータイは、こうしたOSを搭載していることも特徴の一つなのです。iPhoneではアップルが、Windowsケータイと呼ばれるドコモやソフトバンクモバイル、ウィルコムの端末ではマイクロソフトが、そして世界中で販売されているノキア製のケータイにはSymbian OSが使われているのです。
・オープンなOS「Linux」の創造主 リーナス・トーバルズ
■オープンソースのことも知ろう
さて、今回のニュースのもう一つの話題オープンソースについてもみてみましょう。
●オープンソースって何?
ソフトウェアの設計図にあたるプログラムをソースコードと言います。
ちょっと大雑把な言い方ですが、ソースコードには使用するためにライセンス料が必要なものと、ライセンス料が不要のものがあります。オープンソースとは使用する上で制限や定義はあるもののライセンス料が不要のもの、つまり無償で利用できるプログラムのことを指します。
オープンソースを使用する開発者のメリットは、利用上の定義や制限を守ればライセンス費用が不要ことや、多くのユーザーが不具合などの修正情報を公開してくれたり修正対応に協力してくれるケースも多くあるなど、開発コストを大幅に下げられることです。
6月18日に正式版がリリースされ、24時間でダウンロード数が800万件を超えたインターネットブラウザ「Firefox 3」もオープンソースで開発されたソフトです。
・「Firefox 3」、リリース後24時間で830万件のダウンロードを記録
●フリーソフトとは違う オープンソース
オープンソースは、フリー(無料)ウェアと同じようにみられることがありますが少々違うようです。
広い意味では、オープンソースもフリー(無料)ウェアといえなくはありませんが、完全に無償で自由に使えると定義されるフリーウェアと違い、オープンソースは一定の制限や定義が存在します。フリーウェアに比べて、業務などビジネス利用を想定されていることもオープンソースの特徴といえます。
●オープンソースライセンスの特徴
オープンソースの制限や定義(決まりごと)は「オープンソースライセンス」といわれています。定義は、ライセンスごとに内容が異なりますが、共通している点もいくつかあります。
1.無保証であること
オープンソースではソースコードを自由に改変できるため、元の開発者の意図通りに動作をするとは限りません。したがってオープンソースのソフトを利用して不具合が発生したとしても保障はしないものと定められています。
2.著作権の表示
一定条件での自由な利用が認められているオープンソースですが、開発者の著作権まで放棄されいるわけではありません。誰が作ったか分からないと、「一定条件」すら守らせることができないからです。また、ソースコードを改変した者が一から作ったと偽るのを防ぐ意味もあります。
このほか、オープンソースのソフトがビジネスで使用される際に重要なのが「原著作者の権利」です。オープンソースの元の開発者のことを原著作者と言いますが、原著作者にだけ特別な権利が与えられている場合があります。
たとえば、オープンソースのプロジェクトである「Mozilla」のライセンスにMPLというものがありますが、MPLの規定によると原著作者だけは派生ソフトのソースコードを公開しなくていい権利を与えられています。
次はオープンソースライセンスについて見ていきましょう。
●主なオープンソースライセンス
・MIT License (X11 License)
1と2しか定められていません。
・ BSDライセンス
1と2に加え、宣伝条項と呼ばれるものがあります。派生したソフトの広告に、元のプログラム著作者を紹介する決まりごとです。後にこの条項を削除した「修正BSDライセンス」が今では広く使用されるようになりました。
・GPL 3
フリーソフトの開発プロジェクトでGNUという組織があります。GPLのソフトで適用されているライセンスのことをGNU General Public License(GPL)といいます。
GPLはバージョンアップして、現在ではGNU GPL3というバージョンになっています。
GPL 3も含めたGPLでは、1と2が定められているほか、「同一ライセンスの適用」が定められています。「同一ライセンスの適用」は、コピーや改変したソフトを配布するときに必ず元と同じライセンスの利用を認めなければなりません。
■世界のケータイOSの勢力図が変わる?
Symbian OSがオープンソースとなるということは、全世界で販売されているノキア端末(Symbian OSベース)のプラットフォームが加盟企業には無償提供されるということになります。
このことは、ノキア陣営なら開発コスト(ライセンス料や開発時間)において、ほかのプラットフォームよりメリットを得られることになります。
ノキアのこうした動向は、「iPhone2.0」でのアップルや「Android」のGoogleなど、ケータイOSのプラットフォームへの対抗とみられています。また、Symbian OSのオープンソース化は、Linixベースのケータイプラットフォームを目指すモバイルLinuxに対しても大きな影響を与えそうです。
Sybian OSのオープン化が行われれば、世界のモバイルOSの競争は激化し、勢力図は大きく変動する可能性がでてきました。
さて、iPhoneの登場以来、大きく動きだした世界のモバイル業界、今後どうなっていくか、しばらくは目が離せない状況のようです。
・ノキア、Symbian買収で、iPhoneやAndroid対抗の新プラットフォーム普及を視野に
・ノキアがSymbian OSをオープンソース化--モバイルLinuxに与える影響
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このニュースがなぜ、モバイル業界にとって今年最大のニュースなのでしょうか。
今回は、ノキアによるSymbian OSのオープンソース化についてみてみましょう。
■そもそもOSとは何なのか
まず今回のニュースの話題の一つ、OSについてみてみましょう。
OSというのは「Operating System」の略で、ハードウェアとソフトウェアの受け渡しをする重要な役割を担う基本ソフトウェアです。パソコンでいえば、「Windows」シリーズや「Mac OS」シリーズが、代表的なOSです。
パソコンでは、「Windows」や「Mac OS」のようなOSがなければ、どれほど性能のよい部品を搭載していても技術者でない一般の人には使うことができません。
・オープンなOS「Linux」の創造主 リーナス・トーバルズ
■オープンソースのことも知ろう
さて、今回のニュースのもう一つの話題オープンソースについてもみてみましょう。
●オープンソースって何?
ソフトウェアの設計図にあたるプログラムをソースコードと言います。
ちょっと大雑把な言い方ですが、ソースコードには使用するためにライセンス料が必要なものと、ライセンス料が不要のものがあります。オープンソースとは使用する上で制限や定義はあるもののライセンス料が不要のもの、つまり無償で利用できるプログラムのことを指します。
オープンソースを使用する開発者のメリットは、利用上の定義や制限を守ればライセンス費用が不要ことや、多くのユーザーが不具合などの修正情報を公開してくれたり修正対応に協力してくれるケースも多くあるなど、開発コストを大幅に下げられることです。
6月18日に正式版がリリースされ、24時間でダウンロード数が800万件を超えたインターネットブラウザ「Firefox 3」もオープンソースで開発されたソフトです。
・「Firefox 3」、リリース後24時間で830万件のダウンロードを記録
●フリーソフトとは違う オープンソース
オープンソースは、フリー(無料)ウェアと同じようにみられることがありますが少々違うようです。
広い意味では、オープンソースもフリー(無料)ウェアといえなくはありませんが、完全に無償で自由に使えると定義されるフリーウェアと違い、オープンソースは一定の制限や定義が存在します。フリーウェアに比べて、業務などビジネス利用を想定されていることもオープンソースの特徴といえます。
●オープンソースライセンスの特徴
オープンソースの制限や定義(決まりごと)は「オープンソースライセンス」といわれています。定義は、ライセンスごとに内容が異なりますが、共通している点もいくつかあります。
1.無保証であること
オープンソースではソースコードを自由に改変できるため、元の開発者の意図通りに動作をするとは限りません。したがってオープンソースのソフトを利用して不具合が発生したとしても保障はしないものと定められています。
2.著作権の表示
一定条件での自由な利用が認められているオープンソースですが、開発者の著作権まで放棄されいるわけではありません。誰が作ったか分からないと、「一定条件」すら守らせることができないからです。また、ソースコードを改変した者が一から作ったと偽るのを防ぐ意味もあります。
このほか、オープンソースのソフトがビジネスで使用される際に重要なのが「原著作者の権利」です。オープンソースの元の開発者のことを原著作者と言いますが、原著作者にだけ特別な権利が与えられている場合があります。
たとえば、オープンソースのプロジェクトである「Mozilla」のライセンスにMPLというものがありますが、MPLの規定によると原著作者だけは派生ソフトのソースコードを公開しなくていい権利を与えられています。
次はオープンソースライセンスについて見ていきましょう。
●主なオープンソースライセンス
・MIT License (X11 License)
1と2しか定められていません。
・ BSDライセンス
1と2に加え、宣伝条項と呼ばれるものがあります。派生したソフトの広告に、元のプログラム著作者を紹介する決まりごとです。後にこの条項を削除した「修正BSDライセンス」が今では広く使用されるようになりました。
・GPL 3
フリーソフトの開発プロジェクトでGNUという組織があります。GPLのソフトで適用されているライセンスのことをGNU General Public License(GPL)といいます。
GPLはバージョンアップして、現在ではGNU GPL3というバージョンになっています。
GPL 3も含めたGPLでは、1と2が定められているほか、「同一ライセンスの適用」が定められています。「同一ライセンスの適用」は、コピーや改変したソフトを配布するときに必ず元と同じライセンスの利用を認めなければなりません。
■世界のケータイOSの勢力図が変わる?
Symbian OSがオープンソースとなるということは、全世界で販売されているノキア端末(Symbian OSベース)のプラットフォームが加盟企業には無償提供されるということになります。
このことは、ノキア陣営なら開発コスト(ライセンス料や開発時間)において、ほかのプラットフォームよりメリットを得られることになります。
ノキアのこうした動向は、「iPhone2.0」でのアップルや「Android」のGoogleなど、ケータイOSのプラットフォームへの対抗とみられています。また、Symbian OSのオープンソース化は、Linixベースのケータイプラットフォームを目指すモバイルLinuxに対しても大きな影響を与えそうです。
Sybian OSのオープン化が行われれば、世界のモバイルOSの競争は激化し、勢力図は大きく変動する可能性がでてきました。
さて、iPhoneの登場以来、大きく動きだした世界のモバイル業界、今後どうなっていくか、しばらくは目が離せない状況のようです。
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