高原のように前を向いてどんどん勝負していきたい<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 7月12日、UAE戦を翌日に控えて 日本代表オシム監督と、中澤佑二の公式会見が行なわれた。その席上「UAEのメツ監督は『日本はいいサッカーをしているが、試合を殺す、終わらせるのが下手だ』と語ったが、それについてどう思うか?」という質問があった。

 それは先のカタール戦はもちろん、同点に追いつきながら、逃げ切れず破れた05年のワールドカップアジア予選のイラン戦のことも言っているように思えた。中澤は「カタール戦での残り10分から5分間はまずかった。今後日本代表は同じミスを繰り返さないこと。同じ穴に2度落ちないように、したい。そのためにみんなで話し合っていきたい」と答えた。

 ちょうどその頃、カナダで戦っていたU−20日本代表は、チェコ相手に2−0とリードしながら、74分、77分と失点し、延長、PK戦の結果敗れている。またしても試合を殺すことができなかった。試合を決めるといわれる2点目をとったにもかかわらず。しかし、2−1という展開からの逆転はサッカーではよく起こりうることも事実ではあるが…。

 カタール戦では、シュートチャンスの少なさが気になった。高原も「ラストパスが良くなかったし、2点目をとれなかったのがよくなかった」と話している。

「相手が自陣に引いてしまっていたから、無理に攻めるというよりも、自分たちでパスを廻して、相手を疲れさせようと思っていた。前半はリスクを犯して点をとるよりもまずはセーフティーファーストという気持ちだった」と遠藤はカタール戦について語り、鈴木も同様のコメントを残している。

 幸いそれが功を奏したのか、後半に入るとカタールはペースダウンし、日本の先制点が生まれた。とは言え、2点目を獲りきれず、終了間際に失点してしまったのだ。失点に繋がるファールまでの選手個々の中途半端なプレー、セットプレーでの壁の作り方など、改善すべき部分も多い。それでも、前半に先制点を決めておけば…と考えることもある。守りきることだけが、“試合を殺す”ことではない。2点目、3点目を決めることもまた、“試合を殺す”方法なのだから。
 
 果たしてUAE戦で、巧く試合を終わらせられるか?当然ピッチでボールを戦うのは選手だ。監督がボールを蹴るわけではない。しかし……。オシム・ジャパンの最初の正念場となるUAE戦。選手たちのモチベーションは高く、意気揚々として見える。だからこそ、監督の手腕に注目したい。

―― text by Noriko TERANO from Vietnam ――

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