元旦の1面トップには「祭り」の文字が…

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   元旦の新聞各紙の1面トップを飾るのは、「入魂のスクープ」であることが多い。だが、今年の毎日新聞は例外だったようで、1面の見出しを飾ったのは、2ちゃんねらーにはおなじみの「祭り」という文字。だが、「祭り=悪意が燃えさかること」という記事の論調に、2ちゃんねるのスレッドでは反発する大量の書き込みが行われ、「全面戦争」の様相を呈してきた。

   話題になっているのは、「ネット君臨」という連載。連載初日の2007年1月1日には、3ページにわたって、2ちゃんねる関連の話題を取り上げている。記事の内容は、2ちゃんねるの書き込みで傷を負ったと訴える人の事例が二つと、2ちゃんねるの管理人である西村博之氏へのインタビューなどで構成されている。

「悪意」の燃えさかりが「祭り」

   一つめの事例には、「難病児募金あざける『祭り』」という大きな見出しが付いており、米国での移植手術を希望している東京都三鷹市の上田さくらちゃん(4)を支援する会の例が紹介されている。内容はJ-CASTニュースでも06年10月に「心臓病女児募金活動に ネット上で批判噴出」「2ちゃんねらーと 救う会が初の『対話』」という記事で紹介したが、記事のトーンはJ-CASTニュースとは違っている。毎日新聞の記事によると、さくらちゃんの母親は、自宅前で携帯電話のカメラを構えた人影を目撃したといい、

「裸で歩いているような恐ろしさ。眠れない時もありました」

   と、おびえる様子を紹介している。しかし、J-CASTニュースの記事で指摘されているような、募金活動のやり方や、集まったお金の使途が不透明なことが批判を浴びている、という点にはほとんど触れられていない。

   さらに、この記事を執筆した記者は、2ちゃんねらーが集う忘年会に「潜入」し、2ちゃんねらーに取材をしているが、その結果、2ちゃんねるでわき起こった批判を、「悪意」だと、このように糾弾している。

「(忘年会に参加した2ちゃんねらーは) 掲示板の中傷に疑問を感じてはいない。ネットでは住人たちが一つの話題に群がり、ときに『悪意』が燃えさかる。彼らはそれを『祭り』と呼ぶ」

   二つめの事例は、「エサ 総がかりで暴露」という見出しで、東海地方に住む主婦がブログで「非常識な書き込み」をしたために2ちゃんねるで「祭り」が発生、住所や夫の勤務先などが割り出され、夫の勤務先にも「奥さんの件はご存じですか」などと「電凸(でんとつ、電話による突撃)』が行われたことを紹介している。その結果、この主婦はしばらく自宅を離れざるを得なくなったという。

   これらの事例に対して、2ちゃんねるでは当然のごとく書き込みが殺到、「ニュース速報+」と呼ばれる掲示板では、スレッドは1月5日17時時点で、すでに16本目に突入している。その中で多く指摘されているのが、2番目の事例に出てくる東海地方に住む主婦が、どんな「非常識な書き込み」をしたのかが書かれていない、という点だ。

「非常識な行為」紹介しなかったのは「編集上の判断」

   実は、「非常識な内容」というのは、乗った飛行機がトラブルで出発地へ引き返すことになった時のことを書いた、こんな内容なのだ。

「『案内があるまでは携帯電話の電源は入れないで下さい』だと。それは勝手な言い分じゃないかい?みんな待ってる人がいるはずだろ?時間になっても到着しないなら心配するだろ??空港で待ってる人には空港が案内するだろうけど、その他はこの状態がわからんだろ??その間、2回スッチーが謝りに来た。ひざまづいて謝るが、当然無視っす」

   「飛行機の中で携帯電話の電源は切る」というのは常識として認知されている上、法律でも定められていることだが、これを「勝手な言い分」と断言しているのだ。

   この「非常識な行為」の内容を記事で紹介しなかったことについては、J-CASTニュースの取材に対して毎日新聞東京本社編集局では「編集上の判断です」とのみファクスで回答を寄せた。

   なお、今回の特集については、毎日新聞社のサイトの一部である「まいまいクラブ」というコーナー内に特設ブログが開設されている。管理者の承認が必要ながらも、コメントが書けるようになっている。今回話題になった記事については、130近いコメントが寄せられ、賛否が分かれている。
   また、今回の連載の趣旨については、「シリーズ全体を通して示していきます(毎日新聞東京本社編集局)」としている。