団塊の別荘ブーム 伊豆、熱海がダントツ
団塊の世代が大量に退職する時代を前に、「別荘」の人気が急上昇している。戸数で見ると、ダントツに増えているのが静岡県だ。なぜ長野や山梨ではないのか。その鍵は団塊の世代の別荘の「購入目的」にあった。
静岡県のとある別荘。これが団塊の世代に人気だ
定年退職を間近に控えている人たちのあいだで、別荘の人気が急上昇している。実際に別荘の不動産を扱う企業に聞いても、別荘の購入者は、その8割近くが50代〜60代だという。
総務省統計局が公表している統計によると、2003年の日本全国の別荘の戸数は257,200戸。1998年の戸数219,800戸に比べて、実に35,400戸も増えたことになる(総務省統計局「平成10/15年 住宅・土地統計調査」より)。なかでも際立っているのは静岡県の別荘の戸数で、98年には全国で長野に次いで2位だったが、03年には長野県を追い抜きトップに躍り出た。しかも、別荘の戸数はたった5年間で約1万件も増加している。
そこで、「静岡人気」の実情を、静岡県の不動産屋数社に聞いてみると、
「別荘の売れ行きはバブル期以降ずっと低迷していたが、2〜3年まえから上向いてきた」
「高額だった物件も最近は売れてきている。価格帯が上がってきた」
という答えが返ってきた。首都圏からのアクセスの良さもあり、静岡で別荘を購入するひとは増加してきている。人気は事実のようだ。しかし、団塊の世代の購入目的がさらに人気を後押しいている。
静岡県で不動産業を営むリゾートコーポレーションの担当者は、
「別荘を購入しようとする団塊の世代には、いわゆる"セカンドハウス"としてだけではなく、永住志向の人が多い。軽井沢など長野県の物件を探すお客さんもいるが、やっぱり長野は寒くてずっとは住みづらいということになる。その点、伊豆半島、静岡は温暖で、永住するのに適しているのだろう」
とJ-CASTニュースの取材に答えた。
定年前には「セカンドハウス」、定年後には永住 別荘というと、休暇のときに一時的にしか滞在しない、いわゆる「セカンドハウス」という印象が強い。ところが、団塊の世代の多くは、定年前には「セカンドハウス」として利用、定年後には永住できる、という別荘を購入する。だから、温暖な気候のほうを選ぶ、というわけだ。
静岡県・伊東市の不動産会社の担当者は次のように話す。
「永住する目的で購入する人が多いから、それなりに建物が大きく、土地が広いという物件が売れる。熱海や伊豆高原など伊豆の周辺には分譲も多く、こうした条件も満たす」
団塊世代が静岡の別荘を購入する価格帯は、2,500万〜3,000万円程度。伊豆高原や熱海といった伊豆半島やその周辺の物件が、特に人気が高い。