iPhoneは革新すべき? 現状維持すべき? AppleはiPhoneはファンの期待に応えられたのか

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アップルは9月22日、新しいスマートフォン「iPhone 8」および「iPhone 8 Plus」を発売した。前モデルとの違いは
・背面がメタルからガラス素材に変更
・CPUとGPUの高速化と省電力化
・ワイヤレス充電(Qi)への対応
・4K60P動画撮影対応
・iPhone 8 Plusはポートレートモードの強化
など、さらなる性能向上と使い勝手を向上するための進化を遂げている。

しかしながら、この進化はごく普通のものであり、iPhoneの革新に期待していたユーザーには物足りなさを感じるところでもあるだろう。
初対応のワイヤレス充電以外は、通常使用において従来機種でも特に不満なく使えているからだ。

2017年9月の時点のアップルストアにおいて、2016年モデルの「iPhone 7」「iPhone 7s」、2015年モデルの「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」も併売されており、iPhoneの旧モデル購入から2年を超過したユーザーでも、高速化などのスペックアップを望まないユーザーなら、価格が安くなった旧モデルを選ぶという選択肢も実用性が高い。

一方で、大手携帯キャリアやMVNO事業者においてのiPhone 8は、年末商戦へ向けて機種変更や新規契約、SIM契約につながる商材だけにネガティブなイメージ拡散はできるだけ避けたいところだろう。




筆者も、現在iPhone 8を購入して使っているのだが、今のところネガティブな要素はなく快適に利用できている。新機能の4K60P動画撮影機能は、こんなに小さなスマートフォンで実現できるとは思っていなかっただけに、この機能は活用していきたいと思っている。

また、個々の機能についての良さはあるが、iPhone 6sやiPhone 7と使用感は同じであることから爆発的な買い替え需要は見込めないとも感じた。

過去のiPhoneを振り返ってみると、
チップの性能はそれほど高くはないが、
・OSやアプリの作り込み
・本体デザインの良さ
これらから、ある意味、必ずしも高性能である必要がなかった。
また、製品スパンが長く、安価な旧製品でも使えるため、長く利用でき、親しみも持ちやすい製品だった。

特にスマートフォンのトレンドとなるデザイン開発はアップルらしさを出せており、特徴にもなっている。
そこに惚れ込み新しいiPhoneを誰よりも早く手に入れたいという想いから、発売日にはアップルストアの前に行列ができるなどしていた。

しかし時代が進むと、ほかのスマートフォンの進化により、iPhoneもイノベーションを起こすためのデザイン変更やチップ性能の向上、指紋センサーの採用、非接触型の電子決済対応など、市場で求められる機能を取り入れていかざるをえなくなる。

その代償で、本体価格が上昇し、今日に至る。

今や、AndroidスマートフォンもiPhoneと変わらないデザインの製品も多くなった。
一方でiPhoneも、Androidスマートフォンの機能を多く取り込むようになっている。

現状での両社の違いは、
・OSがiOSかAndroidかの違い
・本体ハードウェアが、iPhoneかAndroidスマートフォンかの違い
だけと言っても過言ではないだろう。

そして現在のユーザーが次に期待するのは、
「現状維持ではなく、革新」
となるのは必然の流れだ。

そうした期待にiPhone 8は応えているのかと言われると、答えは「ノー」だ。

しかしながらiPhone 8シリーズは、現在と近い未来のトレンドはしっかりとおさえている。
これなら数年先でも陳腐化することは、まずないだろう。

Appleが、まさにホンキで現状維持に取り組んだ結果だともいえる。




11月には次のiPhoneを見据えた「iPhone X(アイフォーン テン)」が発売される。
こちらは中身がiPhone 8系と同じだが、ホームボタンを廃し前面全てがスクリーンとなり見た目も新しい「イノベーションモデル」だ。

デザインや使い勝手など、これまでのiPhoneにはない価値と体験ができるモデルとして注目と期待が高まっている。

価格はノートPCが購入できるほどまで跳ね上がり、万人のためのiPhoneというイメージとは剥離してしまった。

しかし革新を望むユーザーに対しては、このタイミングでのiPhone Xの投入はベストだったように想う。

問題は、iPhone X以降だ。
iPhone Xの次にくるモデルは、「革新」なのか「現状維持」なのか?

筆者は、正直、価格に見合う革新性があるのか疑問が残るiPhone Xを見せつけられた今、不思議と現状維持でも良いとさえ思うようになっている。


執筆 mi2_303