若者文化をレポートしていくこの連載、第2回はカメラ女子の進化について紹介しようと思います。

「とりあえずカメラ買っちゃう」大学生

私はこの春大学を卒業しましたが、肌感として、大学生になってからデビューするものランキング第1位はカメラでした。要因としては大学生になってからバイトを始めたことで自分で自由に使うことができるお金ができたこと、そして、自由に使える時間が増えることで、友達と一緒に「どこかへ写真を撮りにいこうよ!」と出かける機会がたくさんあることだと思います。スマホのカメラがあるから、若者はカメラ離れしているイメージがある? いいえ、「逆にかっこいい」という自意識が、大学生をカメラ購入に陥らせるのですよ……。私も例に漏れず、大学生になってすぐにデジタル一眼レフの入門機(5万円前後)を買いました。

ここでは、そんな一般的な若者たちの話をします。

再ブームとなった写ルンです

さて、先ほど述べたように、カメラ女子になって1番最初に買うのはデジタル一眼レフの入門機、もしくはミラーレス一眼が主です。なぜなら価格も手ごろで、見た目も可愛いものが多く、初心者でもある程度は簡単にきれいな写真が撮れるからです。

しかしこのごろ、それらの大きめのカメラと一緒に、もう1つカメラが持ち歩かれるようになりました。それは、なんと「写ルンです」です。

キタジマカロ @kitajima_kaho(https://twitter.com/kitajima_kaho)

1997年以降、デジタルカメラの普及に伴って売り上げが落ちていた「写ルンです」ですが、最近10代、20代の女子の間で再びブームになっています。

若者たちは、アナログでアルバムが作られていた最後の世代

現在、20代前半の若者たちは「写ルンです」をはじめとしたフィルムを使うカメラについて、「写真を自分で撮るもの」というより「親が自分を撮っていたもの」という認識です。それは自分たちが幼い頃に親がフィルムカメラを使っていて、若者たちは、アナログでアルバムが作られていた最後の世代だからです。

学生になると遠足のときに学校から数台の「写ルンです」を渡され、行事の思い出を残したりしました。

思い通りにならないからこそ、逆に新しい

では次に、なぜ若い女子の中で「写ルンです」が再び注目されているのか、ポイントを3つ紹介します。

1.手軽にフィルムの雰囲気を出せる

私たちの世代はデジタルに囲まれています。携帯やスマートフォンで写真を撮るにしてもデジタルですし、カメラ女子になるために買ったカメラももちろんデジタルです。そのため、アナログなフィルムで撮った写真には逆に新しさを感じています。そして、最も安価に、手間も少なく、持ち歩きやすいフィルムカメラが「写ルンです」だったのです。

2.思い通りにならない
元々フィルムカメラからデジタルカメラへ移行した理由こそ、「安価」「手間が少ない」「持ち歩きやすい」だったとも言えますが、初めからデジタルカメラを馴れている若者からするとこうした「過去の魅力」さえ新鮮に思えます。「実際に現像してみたらほとんど失敗」という不便ささえ、デジタルカメラでは経験できない的ことなのでテンションが上がります。

3.現像するまでのドキドキ感がたまらない
そして、デジタルカメラ、そしてチェキなどのインスタントカメラとも違う点がこれです。インターネットで何もかもが瞬時にわかってしまう時代に、自分が撮った写真をすぐに確認できないもどかしさは、若者たちにとって心地よいドキドキ感なのです。

「ネガって何?」という本音

しかしながら、私たちの世代は現像というものを自分でしたことがありません。そのため、最近「写ルンです」にハマりだした筆者の友人(21歳)に「こないだ『写ルンです』で撮った写真、現像しに行った?」と尋ねてみたところ、

「したけど、あのネガ?っていう黒いやつにはしなかったよ」

という返事が返ってきました……。

「上手く撮れたものだけプリントする」という合理性

では、若者たちは「写ルンです」で撮った写真をどのように現像、プリント、活用しているのでしょうか。先ほど、ネガは受け取らずに現像したと言っていた友人によると、カメラ店で「写ルンです」で撮った写真をデジタルデータとしてCDに焼いてもらい、自分で好きな雰囲気に加工を施した後、うまく撮れたものだけをプリントするのだそう。これは、画像編集ソフトや様々なフィルター加工を施すアプリを操れる若者ならではの活用方法ですね。また、彼女はうまく撮れたものをまとめて、オリジナルの写真集も作るそうです。このオリジナルの写真集はZINE(ジン)とも呼ばれています。

結局デジタルじゃん!?

キタジマカロ @kitajima_kaho(https://twitter.com/kitajima_kaho)

あれ? 結局デジタルじゃん、と思われた方、大正解です。若者たちはフィルムというアナログなものに惹かれながらも、ムダなものは持ちたくないためことはしたくないため、二刀流でアナログとデジタルのいいとこ取りを楽しんでいます。

最近、若者は合理的なことを好むと言われます。そしておそらく、若者たち自身もそのことを自覚しています。ただ、合理化を突き詰める反面、フィルムカメラなどのアナログなものに愛しさを感じ、わざわざ少し遠回りをしたくなるときもあるのです。

キタジマカロ @kitajima_kaho(https://twitter.com/kitajima_kaho)


(たなかもみこ)