勝利の瞬間、ラケットがふわりと宙を舞い、誕生したばかりの若き王者は、両手を天に突き上げ咆哮を挙げた。「Star on a rise!(急上昇のスター!)」呼び上げの声に乗りトロフィーを手渡されると、再び叫び、トロフィーを幾度も振りかざす。弾ける笑みと、その姿が、このタイトルがいかに彼にとって大きいのか、どれほどに望んでいたかを物語る。それは17歳の小田凱人(ときと)にとって、通算3度目のグランドスラム優勝に