これは生まれたときから浴槽の栓を友にしてきた少年と、初めて奉公に出た屋敷でなぜか「あなたの便宜のために封印」と書かれた帯紙が糊付けされたマッチ箱を渡された少女の物語だ。小説の魔術師エドワード・ケアリー待望の第3長篇『堆塵館』(古屋美登里訳)である。浴槽の栓?封印されたマッチ箱?なにそれ?そう思った方も、ちょっとだけお付き合いいただきたい。アイアマンガーの中のアイアマンガー『堆塵館』の舞台は19世紀