第5章〈人生〉 #01〈じっと考える材料〉石の四つ子兄弟がいた。みな粗くて大きいだけの石だった。長男A石は、「おれはなんでこんな堅くて融通(ゆうづう)がきかない体なんだ。もっと柔らかくて、軽やかで、輝くものとして生まれたかった」と、そんな願望を抱いて放浪の旅に出てしまった。次男B石は、自分を飾りはじめた。色とりどりのペンキを塗り、紙や布で装飾をした。三男C石は、「自分のとりえは堅固で安定しているところ