小説家・村上春樹はどのようにして生まれたか1978年4月のよく晴れた日の午後に、セリーグの開幕戦を神宮球場に見に行き、ヤクルトの先頭打者ヒルトンがレフト前にヒットを打った。その瞬間に「そうだ、僕にも小説が書けるかもしれない(同書、P42)」と、村上春樹氏は思った。これは有名な話であり、春樹ファンならどこかで目にしたフレーズだろう。本書では、その後のてん末が語られる。村上文体の誕生秘話である。『風の歌を聴け