アップルの「ResearchKit」は名案だが安定性を欠く
アップルを信用できればいいのだが。
先週月曜の新製品発表イベントで、アップルは驚くほど多くの時間を費やして、ほとんどの人々にとって退屈なテーマについて説明した。医学研究である。アップルは新たなソフトウェア・フレームワークである「ResearchKit」を発表した。それは患者の健康データを得るために研究者や医師が既に使用しているものだ。
ResearchKitは4月、前述の研究者や医師だけでなく、開発者も利用可能となる。
このソフトウェアは崇高な目的のもとに生み出された。これによって企業イメージが向上し、人々の健康改善を目指す社員の士気を高めることになると、アップルはおそらく考えているのだろう。問題は、アップルが自社のソフトウェア利用者の記録を追跡することだ。今のところ、それは言語道断の行為である。
医学において、自己申告データの利用には将来性がある。例えば、研究者は減量に適した食べ物が何かを把握するため、MyFitnessPalからのカロリー計算データを利用している。これまで被験者は、特別な機器を使用することに同意したり、日誌をつけたり、研究室を訪問して従来型の研究に参加してきた。しかし、被験者が既に持っている端末と無料アプリを利用すれば、データ取得がはるかに容易で安価となるのだ。
アップルは一例として、パーキンソン病の患者が画面上で対象をタップする能力を測定できるiPhoneアプリを提示した。これは理にかなったアイディアだが、新たなソフトウェア・フレームワークが特に必要なわけではない。iPhone搭載のセンサーを利用しただけである。
ResearchKitにまつわる問題は、アップルのHealthKitソフトウェアとそれに伴うHealthアプリに非常にバグが多く、使いづらいため、ユーザーにとって魅力的ではない点にある。それらはアップル製品においてすら、期待通りに動作しない。マイクロソフト近辺の、別の星から来たものかと思うほどだ。つまりHealthKitを利用する以上、ResearchKitは不安定であるということに他ならないのだ。
アップルは、HealthKit関連アプリが広まっていないことを把握している。そのため、医学研究へ方向転換を図り、健康およびフィットネス市場参入への正当性を確保しようとしている。そういった見方もできるだろう。
このニュースの素晴らしい点は、アップルがResearchKitをオープンソースとして発表したことである。Apple Healthのソフトウェア技術者でなくとも、誰もがバグを修正できるということだ。また、ResearchKitのアプリがAndroidやその他のプラットフォーム向けに利用できるということでもある。iPhoneの売上を向上させることにはならずとも、医学には寄与することになるだろう。
画像提供:Apple
Owen Thomas
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