いまのところ具体性はないものの、エル・シャーラウィ(左)とインモービレ(右)の大型トレードが実現する可能性はあるはずだと、ディ・マルツィオ記者。 (C) Getty Images

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 ステファン・エル・シャーラウィが1月にミランを去る可能性が本当にあるのか?
 
 具体的な話があるわけではないが、問いかけ自体は正当なものだ。1年半前、2013年夏には実現まであと一歩のところまで近づいた。アンジ・マハチカラ(ロシア)が4000万ユーロ(約56億円)という大金を積んで、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長に放出を受け入れさせたのだ。
 
 しかし、エル・シャーラウィはこの移籍話を受け入れなかった。20歳の若さで子供の頃から憧れてきたクラブでプレーしている時には、カネよりもハートの方が重要だと考えるのも当然だ。
 
 この移籍話が破談に終わった後、エル・シャーラウィは大きな故障に悩まされて1年近くを棒に振り、それ以来かつての輝きを取り戻せずにいる。環境を変えて新たな活躍の舞台を求めるべきなのか? 彼自身は、一生ロッソネーロのシャツを着つづけたいと思っているだろう。
 
 しかし、ミランのオーナーであるシルビオ・ベルルスコーニは、3トップの4-3-3ではなく2トップとトップ下の4-3-1-2で戦うべきだ、と言い出している。フィリッポ・インザーギ監督がこれを聞き入れるかどうかはわからないが、もしそうなれば、エル・シャーラウィは活躍の場を失うことになる。
 
 ここにきて、代理人たちがビジネスチャンスを探して連絡を取り合い始めているのはそのせいもあるのかもしれない。
 
 想定される移籍先はドルトムント。今夏トリノから移籍したチーロ・インモービレは十分な出場機会を得られておらず、しかしピッチに立てばゴールを決めてアピールを忘れない。そこから出てきたのが――いまのところ単なる仮定以上のものではないにしても――、エル・シャーラウィとインモービレの交換というアイデアだ。
 
 1月には実現不可能だが、6月にどう動くかはわからない。状況がさらに動き、双方を納得させる解決策を見出す時間があれば、実現に向かわないとは限らない。
 
 私は、エル・シャーラウィがこのままミランに長く留まるかについては懐疑的だ。両者の間のフィーリングは、かつてほど密接なものではなくなっている。もちろん、すべては今後シーズンの残り半分がどう展開するかにかかっている。
 
 いまのところはひとつの可能性以上のものではない。いまのところは……。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎