冗談はさておき、“チーム”というものに対する本田の考え方は素晴らしい。本田にはチームワークのセンスがある。チームメイトのためにプレーをするのだ。
 
 なぜなら、自分がチームを動かす大事な歯車になることで、より大きな成果が得られることを知っている。歯車は全体としての結果を出すために動くもので、自分のためだけには動かない。
 
 軍隊で例えて言うなら、本田は(特に指揮官にとって)非常に良い兵隊だ。決められた集団の規律のなかで最高のパフォーマンスをする。一方、メネーズは敵の息の根を止めるスナイパーだ。ひとりはチームのプレーを担い、ひとりはただ本能のままプレーする――。
 これほど異なる選手をともに使いこなすのは、監督にとって決して簡単なことではない。ここ2試合のミランの試合を見るだけでも、それはよく分かる。
 
 ウディネーゼ戦で、本田とメネーズはとても良いコンビネーションを見せていた。プレー中、ふたりは確かに互いを感じ、理解し合っていた。おかげでチーム全体の動きは滑らかで的確。長らく忘れていた、オーナーのシルビオ・ベルルスコーニが必死で取り戻したがっている黄金期のミランのようだった。
 
 なぜそんなプレーを見ることができたのか? 理由は簡単だ。メネーズがいつもよりずっと、チームに貢献していたからだ。
 
 しかし先日のジェノア戦では、全てが元に戻ってしまっていた。これも、理由は簡単。メネーズがまたいつものように、自分のためだけにプレーしたからだ。まるで、どんな場面も自分だけで打開できると言わんばかりに……。それに加えて、本田の調子が悪かったこともあり、ジェノア戦は最悪の結果に終わってしまった。
 
 シーズンの初めからフィリッポ・インザーギ監督は、メネーズとその他のチームメイトを共存させようと苦心してきた。ここまでメネーズが多くのゴールを挙げているのは、その成果の表われでもある。
 
 しかし、今のままではダメだ。
 
 できるだけ早く、“本田に手を貸すことは、本田のためだけになるのではない”ということを、メネーズに分からせる必要がある。本田と協力すれば、本田もメネーズを助けることができる。個人的な目標達成の手助けだってしてくれるだろう。メネーズがそれを本当に理解することが、今後のミランにとって非常に重要なのである。
 
 インザーギ監督は練習のたびに、本田とメネーズの動きが攻撃の基本になると、何度も繰り返している。互いに補い合うことが大切だと、口を酸っぱく言っているのだ。