マンガ、巨人、公害…昭和40年代の“光”と“影”
終戦から20年たった高度経済成長の昭和40年代。日本人の生活は大きく変わった時期でもある。エレキブーム、フーテン族、ラジオの深夜放送など若者発の文化も数多く生まれた。
日本の景気も活気も上がっていった昭和40年代は、具体的にどのような時代だったのだろうか。
本書『昭和40年代ファン手帳』(泉麻人/著、中央公論新社/刊)では、駅弁大会、ツチノコ騒動など各年の世相を代表する出来事を、著者の泉麻人氏自身の小学校から高校時代の経験と絡めて紹介する。
昭和39年10月に東京オリンピックという歴史的イベントがあったこともあり、ここでガラッと世の中の風景が変わった。
泉氏が住んでいた東京は、砂利道がアスファルトで舗装され、道端のドブにフタが被さって、都心には高速道路が敷設され、古臭いボンネット型のバスが姿を消していくといった、わかりやすい変化があった。
まず、子どもたちは何を楽しみに過ごしていたのか。
白黒で放送されていた「ウルトラQ」が、41年夏の「ウルトラマン」からカラーになり、少年マンガ誌も元気のある時代だった。少年サンデー、マガジン、キング、ジャンプ、チャンピオン。「おそ松くん」「オバケのQ太郎」「伊賀の影丸」「ハリスの旋風」「巨人の星」・・・シェー、忍者、魔球など、マンガからいくつものブームが生まれた。
マンガ週刊誌は元気だった一方、30年代の定番だった月刊誌は衰退する。「あしたのジョー」(マガジン)の連載が始まる43年に鉄腕アトムと鉄人28号で一世を風靡した月刊誌「少年」が休刊になった。
経済面では、40年代の前半は「いざなぎ景気」と命名された5年に及ぶ長い好況期にあたる。この時期にカラーテレビが普及し、カローラに代表される大衆車が売れ、結果的に先の都電などがアナクロなジャマ者扱いされる。
いざなぎ景気の終わりが45年7月とされているのは、大阪万博の反動的なものだという。景気はすぐに持ち直すが、このあたりからはヘドロ公害が叫ばれたり、光化学スモッグが発生したり、48年晩秋の石油ショックに向かって高度経済成長時代に翳りが見えてくる。
スポーツ界では、プロ野球のドンとして君臨していた川上哲治監督率いる巨人軍の時代だった。40年から48年までが、いわゆる「V9」の時期。王貞治選手と長島茂雄選手の2人のスーパースターが大活躍した。
高度経済成長期という言葉はよく聞くが、実際、その時代の人たちはどのように過ごしていたのか。何が流行り、どのような時代の変化があり、どんな雰囲気だったのか。その時代を知らない若者も泉氏と同年代の人も、楽しめる一冊だ。
(新刊JP編集部)
日本の景気も活気も上がっていった昭和40年代は、具体的にどのような時代だったのだろうか。
本書『昭和40年代ファン手帳』(泉麻人/著、中央公論新社/刊)では、駅弁大会、ツチノコ騒動など各年の世相を代表する出来事を、著者の泉麻人氏自身の小学校から高校時代の経験と絡めて紹介する。
泉氏が住んでいた東京は、砂利道がアスファルトで舗装され、道端のドブにフタが被さって、都心には高速道路が敷設され、古臭いボンネット型のバスが姿を消していくといった、わかりやすい変化があった。
まず、子どもたちは何を楽しみに過ごしていたのか。
白黒で放送されていた「ウルトラQ」が、41年夏の「ウルトラマン」からカラーになり、少年マンガ誌も元気のある時代だった。少年サンデー、マガジン、キング、ジャンプ、チャンピオン。「おそ松くん」「オバケのQ太郎」「伊賀の影丸」「ハリスの旋風」「巨人の星」・・・シェー、忍者、魔球など、マンガからいくつものブームが生まれた。
マンガ週刊誌は元気だった一方、30年代の定番だった月刊誌は衰退する。「あしたのジョー」(マガジン)の連載が始まる43年に鉄腕アトムと鉄人28号で一世を風靡した月刊誌「少年」が休刊になった。
経済面では、40年代の前半は「いざなぎ景気」と命名された5年に及ぶ長い好況期にあたる。この時期にカラーテレビが普及し、カローラに代表される大衆車が売れ、結果的に先の都電などがアナクロなジャマ者扱いされる。
いざなぎ景気の終わりが45年7月とされているのは、大阪万博の反動的なものだという。景気はすぐに持ち直すが、このあたりからはヘドロ公害が叫ばれたり、光化学スモッグが発生したり、48年晩秋の石油ショックに向かって高度経済成長時代に翳りが見えてくる。
スポーツ界では、プロ野球のドンとして君臨していた川上哲治監督率いる巨人軍の時代だった。40年から48年までが、いわゆる「V9」の時期。王貞治選手と長島茂雄選手の2人のスーパースターが大活躍した。
高度経済成長期という言葉はよく聞くが、実際、その時代の人たちはどのように過ごしていたのか。何が流行り、どのような時代の変化があり、どんな雰囲気だったのか。その時代を知らない若者も泉氏と同年代の人も、楽しめる一冊だ。
(新刊JP編集部)