LINE公式「パン田一郎」ができるまで:(後編)
LINE公式「パン田一郎」の開発メンバーの方々にいろいろとお話をうかがった(後編)。
関連記事:LINE公式「パン田一郎」ができるまで:(前編)
「パン田一郎」の反響
――サービスが始まってからのユーザーの反響や、思いがけない利用法とか、こういうコミュニケーションが多い等、始まってからの反応があれば教えてください。
RJ:素直に反応の数には驚きました。Twitterでも5分に一回くらいのペースで呟かれていて、特徴的だったのが画像キャプチャを添付しているつぶやきが半数を占めていた事ですね。「パン田一郎」はロボットであるという事はカスタマーもわかっているので、「こう言ったらこう言うだろう」とか「こんな事言わせてやったぞ」みたいな事をTwitter上でシェアしていました。あと多かったのは女の子の「彼氏になってほしい」「彼氏が出来た」等のつぶやきですね(笑)。またスタンプを使った求人検索等の機能として使える事に関してのカスタマーの驚きは結構ありまして、可能性が有るなと思いました。
――実際にスマートフォン目的があっての利用は勿論ありますが、暇つぶしに使う方も多いんじゃないかなと思います。目的があっての利用と、遊び相手としての利用等、リリースしてからの何か発見があれば。
RJ:当社の目標としてはまず雑談の数を増やす事としていまして、カスタマー全員がバイトを探している訳ではないですし、タイミングをしっかりと図る。そのタイミングの時にしっかりとした価値を提供出来るようにするという目的があるのでまずは会話を増やす事が大きなテーマですね。
――その先には応募数の増加が。
RJ:そうですね。近い将来、実際に応募して仕事が決まるまで、「パン田一郎」が応援していくという事をLINEではやっていきたいですね。
RJ:キャラクターを使うと割とエモーショナルなコミュニケーションが出来るのが特徴的で、既存の情報検索メディアってエモーショナルな要素はなかなか無いと思います。LINEという一対一でパーソナルなメディアでキャラクターという少し感情的・感覚的に接せるキャラクターを使いながらコミュニケーションが出来ているというのは可能性があるなと感じました。
――自然言語処理の問い合わせが増えているとお伺いしました。
RT:今回TwitterやFacebookを見ていて面白いなと思ったのは、リクルートテクノロジーズは自然言語処理でいきなり全部盛りで来たっていうのがありましたね。(笑)
――この技術自体昔からあったんですか?それとも最近出来たんですか?
RT:技術自体は今よりも高度ではないですが、昔からありました。最近になって、コンピューターでロボットと人間がいかにコミュニケーションをとるかという部分において再度注目されてきているのかなと思います。
RJ:ブランドを図る指標も認知からエンゲージメントに変わってきているように、先ほどエモーショナルとありましたが感情的に繋がりあえるという技術が今後のキーに成ると思います。そういった部分ではリクルートテクノロジーズは良い着眼点だなと思います。
――自然言語処理が凄く盛り上がっていきそうだなと思うんですが、具体的にリクルート内でこう展開したいなとか、こう活かしたいなとかありますか?
RT:この技術を進化させていくために内部でサービスを立ち上げ、アルゴリズムを追加して、リクルートグループ全体でニーズがあれば今後も提供していきたいと思っています。その為にATL内部で、より技術の精度をブラッシュアップしていく予定です。
これからの「パン田一郎」
――今後の展開を(可能な限りで)教えてください。Siriのような機能を付けていくのか等サービス的な部分だったり、技術的な部分だったり何かありましたら教えて頂きたいなと。
RJ:会話という部分でいうと単発の返しが続いていて会話に見えるような状況ですが、少しずつ文脈を判断して例えば一週間前にこんな事言ってたよねみたいな会話ができれば、さらに会話が繋がっていくのでチャレンジしていきたいと思っています。サービス的な面でいうとバイト関係のサービスとの接続を強めていきたいと思っています。LINEという日常的に触れる機会のあるアプリで、開くとバイトが見つかるとか、開くとシフトが管理できる等の部分をもっとやっていきたいですね。
――今はカスタマーからのアクションからの返しだと思うんですが、逆に「パン田一郎」から何かコメントを投げかけたりという事も考えているんですか?
RJ:LINEの一対一で会話が出来るのが凄く強みなので、一括で同じ時間帯に求人情報を提供するのではなく、一人一人のタイミングで情報を得られたり、何かお知らせをしてくれるだとか、いかに気持ちよくコミュニケーションを増やすかがテーマですね。
――実際「パン田一郎」のアカウント経由でアルバイトを申し込まれた方とか実績はあるんですか?
RJ:既に初日から応募がありました。すぐに来るとは思っていなかったので、今後の可能性を感じています。どうしてもLINEの中でサイトを開くので、Safari等と連動が出来ていないので使いづらい部分もあるんですが、ユーザーさんは積極的に使ってくれています。
――何か補足やニュースがあればお願い致します。
RJ:一点だけ。今回スタンプに機能を持たせていまして、「求人無いかな」や「天気どうかな」等のスタンプを「パン田一郎」に送ると、そのスタンプを理解して「どこで仕事を探しているの?」や「東京の天気はこれだよ」という風に、会話だけで無くスタンプだけでコミュニケーションもとれるようにしております。
RJ:友達に成った時にダウンロードが出来るスタンプを送ると、「パン田一郎」がスタンプの意味を理解して返信してくれます。これは公式アカウントとしては初だと思います。
――技術的に追加していくこととかありますか?
RT:新たなアルゴリズムを順次追加し、自然言語処理技術を進化させていきたいと思っています。
ReadWrite Japan編集部
[原文]