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Jawbone社のUpは一例に過ぎない

数週間前、ホットヨガのレッスン中に、私のフィットネス・バンドJawbone社のUp24が壊れてしまった。私は耐水性のないデバイスを装着したままシャワーを浴びたりはしない。室温が高く、滝のように汗をかいたなら壊れるのも分かるが、そんなこともなかった。

どのみち、Upを外そうと思っていたところだった。別のフィットネス・バンドをテストするため、装着スペースが必要だったのだ。そして、最近になってJawbone社が食事をトラッキングする新機能を発表したため、私はUpの存在を思い出したという次第だ。

フィットネス・バンドを付けてもらうにはどうすればよいか?

結局、バンドは必要なかった。Upのコンパニオン・アプリを起動すると、「バンドがない」と通知が来るのだが、それでも食事のトラッキング機能は問題なく動作することがわかった。150ドルのバンドは必要ないのだ。

また使用していて判明したのだが、Upが備える多くの機能は、実際はハードウェアではなくソフトウェア上で動作している。Upの最期となったヨガレッスンに至るまで、私は「ストップウォッチ」機能でトレーニングの記録をしていた。しかしそれはGymGoalやMapMyFitnessのようなスマートフォン・アプリでも大差なく可能なことだったのだ。

面白いことに、私のUpは頻繁に「1時間運動が足りない」と通知していた。私はかなり激しく運動していたにも関わらず、飛び跳ねるような動作ではなかったため、加速度センサーは私の動きを認識できなかったのだ。これなら、バンドはなくてもいいだろう。運動をトラッキングしたくて装着したのに、これでは逆効果ではないか。

廃れていくウェアラブル・デバイス

Jawbone社以外にも、「ウェアラブル」であること自体を疑問視したと見られる企業がある。Fitbit社のiPhoneアプリは、もはや同社製デバイスが必須ではなくなっている。iPhone 5Sで使用すれば、M7チップが正確に動きをトラッキングしてくれるのだ。手動で睡眠記録をつけることもできる。

アプリ使用のみのユーザーからはハードウェアの利益を得られないが、Fitbit社はユーザーのデータから利益を得ることができる。また、ユーザーはFitbit社製品ユーザーのソーシャルネットワークに参加するので、競合製品への乗り換えを食い止める効果を生んでいるようだ。

アクティビティ・トラッカーShineのメーカーであるMisfit社もまた、ハードウェア戦略全体の見直しを図っているようだ。最近同社が発表した最新版のソフトウェアは、Pebble(スマートウォッチ)をフィットネス・トラッカーとして使用可能にするものだった。つまり、Shineは必須ではなくなったのだ。同社の最新製品Bedditは、睡眠のトラッキングをマットレスから行うものだ。ユーザーは何も装着しなくていい。

ある経験豊富なデジタル・フィットネス事業家の話では、Misfit社は当初「Misfit Wearables」とフルネームを使用していたのだが、最近では企業名を省略することが多いそうだ(正式に企業名から「Wearables」を外す予定はあるかとMisfit社にコメントを求めたが、現時点で返答はない)。

これからフィットネス向けハードウェアはどうなってしまうのだろう。私がずっと主張しているように、手首にわざわざ装着するからには、歩数の他にも何かトラッキングできなければ生き延びることはできないだろう。実際、サムスンのGear FitやGear Liveのように、より洗練されたバイオセンサーで心拍数等を計測できるスマートウォッチが増えてきている。

製品差別化のためには、Fitbit社がトリー・バーチによるデザインを採用した新製品のように、ファッション・アイテムとしての役割をデバイスに組み込むという手法がある。また別のアプローチも考えられる。まずはスマートフォンでアプリとして親しんでもらい、少数のユーザーに、より詳細なデータ扱えるハードウェアを購入してもらう手法だ。

トラッカーを使ったフィットネス・アプリは、RunKeeper社やMyFitnessPal社のようなアプリ開発のみに取り組む企業と対決することになる。このような企業は幅広い消費者に受け入れられるよう工夫し、スマートフォンのハードウェア性能との兼ね合いに長けている上、アプリを基本的に無料で提供している。ハードウェアの利益率に慣れてしまっている企業にとって、方向転換も困難な状況だ。

Owen Thomas
[原文]