PCの人気タイトルが満を持してXbox Liveに登場!「World of Tanks: Xbox 360 Edition」

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「ガルパン」こと、アニメ「ガールズ&パンツァー」の大ヒットで、2012年秋から2013年春にかけて、予想外の盛り上がりを見せたミリオタ界隈。その頃から一部で「出るぞ、出るぞ」と噂されていたゲーム「World of Tanks: Xbox 360 Edition」の配信が、ついに2014年2月13日にXbox Liveで開始されました。その名の通りXbox 360向けのカジュアル戦車アクションゲームで、Xbox Live ゴールドメンバーシップ会員なら基本プレイは無料。非会員でもXbox Liveアカウントがあれば、10日間有効な体験版が楽しめます。

もっとも本作はすでにPCゲーム「World of Tanks」のXbox 360向け移植版で、アカウントの共有はできません。そのため、すでにPC版でゴリゴリ遊んでいるファンにしてみれば「何を今さら」という感じかもしれませんね。ただし、リビングの大画面でプレイすると、また違ったおもしろさが味わえます。特にPCスペックが貧弱な筆者のようなゲーマーなら、美麗なグラフィックでヌルヌル動く戦車に魅了されること間違いなし。ぜひこの機会にチャレンジしてみてください。

ゲームは最大15人対15人のチーム戦で戦える多人数参加型オンライン戦車ゲームで、プレイヤーは戦車長となって戦場を駆け巡り、敵陣の戦車を撃破していきます。グラフィックはリアル志向ですが、操作はシンプルで、左スティックで移動、右スティックで照準をつけて、右トリガーで砲撃するベーシックなもの。登場する戦車は第二次世界大戦で活躍した戦車を中心に100種類以上。現在はドイツ・アメリカ・イギリスの三カ国しか選べませんが、PC版では全7カ国の車両が登場するため、今後に期待が持てそうです。

ゲームは大きく戦車をカスタマイズしたり、消耗品を補充したりできるガレージと、実際のゲーム画面となるマップを行き来しながら進めていきます。ストーリーモードなどはなく、簡単なチュートリアルで操作方法を学んだら、すぐに戦場に放り込まれる洋ゲー仕様。そうなんです。開発元はロシアのベラルーシにあるWargaming.net社で、「ガルパン」というよりは、「情け無用ファイアー」といった小林源文的世界。ピクニック気分で移動していたら、文字通り一撃で撃破されてガレージ送りとなるため、はじめのうちは次の3点に気をつけるといいでしょう。

1.一台で突出しすぎない
本作にはCOM戦車が登場しません。すべて対戦相手が操作する戦車ばかりで、雑魚キャラが存在しないのです。そのため一台で突出しすぎると、良い的になること間違いなし。敵戦車と1対1で撃ち合ったりすると、運良く相手を倒せても、自分もボロボロになってしまいます。ここははやる心をおさえ、周囲をよく見て、他の戦車と連携行動を取りましょう。常に複数台で敵戦車を迎え撃つようにすると、生存率や撃破率が上げられます。

2.地形を利用する
最初のうちは戦車のエンジンが非力なため、ちょっとした坂を上るのも一苦労です。下から見上げるよりも、上から見下ろす方が視界が開けるため、撃ち合いでは圧倒的に有利。見晴らしの良いマップでは高所に陣取り、遠距離からの攻撃を心がけましょう。建物などが多いマップでは、遮蔽物をうまく活用し、不用意に姿をさらさないように注意。高所から転落してダメージを負ったり、水中にはまって即死するのも禁物です。

3.冷静に後退する
説明が乏しいため気がつきいにくいのですが、ガレージで修理キット(小)、救急キット(小)、手動消化器を安価で購入できます。忘れずに購入しておきましょう。ただし、使わないまま撃破されたのでは、宝のもちぐされ。被弾して損傷したら、まず安全圏まで撤退し、ゆっくり修理するのが賢明です。なお、このとき下手に転身して側面を見せるよりも、もっとも装甲の厚い前面を相手に見せて、ずるずる後退する方が効果的です。

本作を遊んですぐに気がつくのがテンポの良さではないでしょうか。1プレイは数分で終了し、マップ上で勝敗がつけば自動的に経験値やクレジットが加算されます。そのため、たとえ途中で撃破されても、勝敗が付くまで待っている必要はありません。ガレージに出撃可能な車両が残っている限り、どんどん次の戦いに進んでいけるのです。一方で移動が微妙にじれったいのですが、これが戦車という題材によくマッチしています。この「テンポの良さ」と「じれったさ」が両立している、珍しいゲームではないでしょうか。

またゲームビジネスという視点で見ると、本作には3つのポイントがあります。第一に開発スタジオがロシアのベラルーシで、そこから世界に広まった大ヒットゲームだということ。今や世界中でゲームが作られています。裏を返せばゲームがおもしろければ、別に「産地」は関係ないということ。今後も聞いたこともないような国から、あっと驚くゲームが登場して、世界を席巻しそうです。

第二にマイクロソフトがいよいよ、Xbox LiveでF2Pゲームに乗り出してきたということ。過去にもF2Pタイトルでは「ハッピーウォーズ」などの例がありましたが、総じてXbox Liveでは有料ゲームが中心でした。それが、いよいよ風向きが変わってきたといえそうです。F2P市場で生き残るには、ゲームの内容もさることながら、運営力や宣伝力などのパブリッシング力がモノを言います。今後の展開が期待されます。

ちなみに本作では課金すれば強力な戦車が入手できますが、必ずしも無双状態となるわけではありません。勝つも負けるも戦車長次第。ある程度テクニックがモノを言うゲームなので、コツコツと練習して腕を磨くのが早道でしょう。裏を返せば無料でも長く遊べる仕様です。継続プレイにはXbox Liveゴールドメンバーシップの登録(有料)が必要ですが、さまざまな特典も利用できますし、PC版なら無料のままプレイできます。

そして第三に家庭用ゲームのAAAタイトルと、スマホアプリのカジュアルゲームの中間に位置する、ミッドコアと呼ばれる中間層の潜在ニーズをうまく掘り当てたゲームだということ。ただタップするだけのゲームはつまらない。かといってガッツリ大作ゲームを遊ぶ暇がない&どれも似たゲームばかり。そんなコアゲーマー未満、カジュアルゲーマー以上の「もっとおもしろいゲームを遊びたい」というニーズをうまく満たしたと言えそうです。

ちなみに筆者が本作を初めてプレイしたのは、2011年のE3会場でした。年々ブースが巨大化し、昨年はマイクロソフトブースのXbox 360エリアで、堂々の主役を張るコンテンツに成長。おもしろいけど日本では難しいかなーと思っていたところ、ふってわいた「ガルパン」特需。東京ゲームショウでも実物大の戦車レプリカ展示で大きな注目を集めました。いやー何が起こるか分かりませんね。

なお同社では空戦モノの「World of Warplanes」、海戦モノの「World of Warships」とシリーズを展開予定です。PC版でリリース済み(日本語非対応)の「Warplanes」では零戦も登場。開発中の「World of Warships」では、E3 2012で配布されたプレスキットに、あの戦艦大和のスクリーンショットが・・・。期待して待ちましょう。
(小野憲史)