電子書籍をパソコンで読みたいならKindleじゃない、あえてKobo

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楽天のKoboが割引クーポンを撒けば、アマゾンのkindleがほじくるというか後追いセールするイタチごっこのおかげで、最近クレジットカードの請求を見るのが超怖い。ともあれ、国内の電子書籍事業者の撤退がぼちぼち始まっている逆風のなか、強いハートで踏ん張り続けるKoboにはエールを送りたいところです。
ですが、普段使いでカジュアルな趣味の読書ですから、いちユーザーとしては「国産電子書籍の未来のための投資」よりも、目の前にぶら下がった実利が優先です。先日の角川文庫・コミックス70%以上オフ祭りでも、一冊ごとにクーポンのコードを入力させられるKoboよりも、1-clickでポチリと手軽に割引価格で買えるKindleですよねフツー。そしてモノクロの読書専用端末についても、KindlePaperWhiteに対抗してバックライトが追加されたKobo Gloが出たものの、その後メモリが増えて画面のチラツキも減った新型Kindleに輝きを消されてました。

カラー端末でも、Kobo Arc 7HDのスペックは最新のKindleFire HDXに及ばない……(読書端末としてはオーバースペックではありますが)。専用端末のハード面や買い物のしやすさで圧倒的な差をつけているのに、Koboがセールを打ち出すたびに「たまたま時期がかぶっただけ」と言って同等以上のセールで潰しにかかるアマゾン、大人げなさすぎ。
しかし、国内において、KoboがKindleに勝っている点がたった一つだけあります。それは「パソコンで本が読める」ということ。海外ではWindows用のKindleアプリが公開されてるものの、日本ではなぜかありません。Macintosh用はAppStoreで無料配布されていますが、米アマゾンで買った電子書籍しか読めないという、意味不明すぎて深遠な闇を勘ぐりたくなる仕様です。
WindowsやMac用のKoboアプリでは、実はとっくに楽天Koboで買った日本の書籍が読めていました。ただし、アプリの設定ファイルを書き換えたり、欧米向けアプリ(Koboは元々カナダの電子書籍事業者で、それを楽天が買収したサービス)がアップされてるURLをなんとか探してダウンロードする一手間がかかったんです。すでに国内の書籍を読む機能はほぼ完成していたものの、微調整するためにロックをかけていたのかもしれません。

それが1月下旬のアップデートにより、ついに国内のPC用デスクトップアプリが公式に読書に対応しました。今までは買った書籍のライブラリをむなしく眺めるだけでしたが、ダブルクリックすれば読めるようになったんです。
利用方法はカンタン。公式サイトにあるWindows用とMac用のアプリをダウンロードして、インストール後に楽天のIDとパスワードを入れるだけ。ちなみに海外版koboも楽天IDが使えたので、つまり海外のクーポンも国内と共通……おっと。

もっとも、電子書籍のタイプによって「向いてる」「向いてない」の違いはあります。まず、文字+イラストから構成される小説やライトノベルはばっちり読める。フォントの大きさや種類も変えられますし、電子ペーパーの端末のようなリフレッシュ(画面書き換え)によるチラツキもない。文字データを直接コピペこそできませんが、画面キャプチャして「ページを画像としてスクラップする」など、AndroidやiPhone用のアプリで可能なことはぜんぶできます。

漫画を読むビューアーとしては無敵です。なにしろ27インチであれ50インチであれ、お手元にあるPC用の大型液晶ディスプレイ=表示サイズ。iPad Airをしのぐ大画面のフルカラーで、マンガやイラスト集が楽しめるんですよ。

雑誌の読み心地については、控えめに言っても発展途上でしょう。文字や画像の部分的な拡大や縮小にも対応しておらず、ウィンドウのサイズが小さいと字が細かくて目が痛いです。全画面表示にすれば見やすくなりますが、2本の指で“くぱぁ”と拡大縮小が手軽にできるiPad用アプリと比べれば、まだまだ大雑把でアバウトな作りです。

公平を期するために言っておくと、WindowsやMacでKindleの国内向け電子書籍を読むことは一応できます。BlueStacksというアプリをインストールすれば、Android用の日本語版Kindleを起動できるんですね。ただ、「仮想のAndroidマシンをPCの中に作って動かす」という二人羽織みたいなマネをするので、動作はモッサリしてますし、いきなりPCがハングアップすることもあって不安定です。

アマゾンさん、電子書籍の安売りだけでなく、PC用の電子書籍リーダーもKoboを後追いして、日本向けの公式アプリを出してください。もっとも、それが実現した暁にはKoboの勝ち目がいよいよ無くなりそうではありますが。
(多根清史)