100均で材料揃えて20分で作れる最強フォンダンショコラ。自分で焼くからすぐ食べられる、完全に男の夢

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帰宅途中に用事もないのにコンビニに寄り、そこで初めてもうすぐバレンタインデーだということを知った37歳独身の初春です。すでに「バレンタインデー中止!」とか叫ぶような気持ちにもなれず平熱な気持ちのまま、「最近のコンビニのバレンタインデーチョコって結構うまいんだよね。三年前バイトさんからもらった時、驚いた」とぼんやり思い出した。

なんとなくそのまま手を伸ばしたはいいけど、さすがにそれなりにラッピングされたチョコを馴染みの店員に渡すのも気が引けたりして、「俺はただチョコレート食べたいだけなのに」と、伸ばした手を引っ込めそのまま帰宅。そんな生乾きの雑巾みたいに中途半端に枯れたおっさんになってから何年経ったか……。ドラマ『失恋ショコラティエ』をぼんやり見ながら「さいきんは男のほうからチョコを渡すものなのかぁ……」とつぶやいてみたりした。「手作りチョコかあ」。数瞬後、「作るって手があるのか!」。おっさん、よくわからない情熱が突如生まれ、そのまま100円スーパーへ飛び込む。俺は、チョコが食べたいだけなんだ!

『おっさんの失恋ショコラティエ』
〜唐突な手作りチョコ、制作ルール〜
・マツジュンじゃないので食材は100円スーパーで揃う範囲
・今すぐに食べたいから調理時間は20分以内。三品作っても1時間以内
・無駄に重ねた人生経験を活かし、「それっぽく」にだけこだわる
・俺に関係ない女子どもが駆け込みチョコ作りで参考にしても嫉まない
・心のなかの石原さとみに向けて作る
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一品目 『フォンダンショコラ』
焼きたてを割ると、中からトロトロのチョコが……。自分で焼くからすぐ食べられる。完全に男の夢。

<材料>所要時間-----------
4個分 所要時間30分
・チョコレート80g
・バター(無塩) 60g
・薄力粉 大さじ2
・ミルクココア粉末 大さじ2
・砂糖 小さじ2
・卵 2個

あれば
・粉糖 少々
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<作り方>
オーブンを220度に温めておく。チョコとバターを耐熱ボウルに入れ、電子レンジで1分。練ってさらに30秒。また練り30秒を3回くりかえす。綺麗に混ざれば、砂糖と卵を入れ混ぜる。その後、薄力粉とココアを振るいながら投入し綺麗に混ぜる。混ざったら、直径6cmのココットに入れオーブンで10分から15分焼く。焼きあがったら粉糖を振り出来上がり。

<おっさんの独り言>
温かいチョコレートは、それだけで豪華。スプーンで割ったらそこからとろりとチョコが出るときだけは、十代の時のときめきを取り戻せそうなんだ……。標準的なレシピの純ココアをスーパーで売っている砂糖入りミルクココアに置き換え、湯煎の手間を電子レンジで手軽に。溶かす温度は28度〜32度なので(36度以上はダメ!)、だいぶヌルめを心がけて。チョコレートは名糖のお徳用アルファベットチョコレートを推奨しておく。万人受けするちゃんとした美味しさと、なにより1個5gなので、鼻歌歌いながら16個数え、嫌なことを考えながら「畜生!」とその辺にあるすりこぎで叩けばセロファンの中で砕け飛び散らない合理性! フォンダンショコラは出来上がりの派手さとは裏腹に耐熱ボウル一個で出来るのも洗い物が少なくてポイントが高い。
粉糖は最後の飾りだが、なければお近くの冷蔵庫を開けて扉に無造作に突っ込んでいるヨーグルトのおまけについていた顆粒状のグラニュー糖を指ですり潰しながらかけてみよう! HAHAHA。

二品目 『チョコチップパイのバー』
チョコチップクッキーは普通の割に手間だし、チョコクロワッサンはチョコクロを普段から超食べているので、それ以上に手軽に、特別感を捏造!

<材料>所要時間-----------
6本分 所要時間20分
・チョコレート15g
・アーモンド 15g
・冷凍パイ生地 2枚
・卵黄 ちょこっと

あれば
・粉糖 少々
・テンパリング用チョコレート
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<作り方>
オーブンを240度に温めておく。冷凍パイシートを出し、適当に伸ばす(一辺15cm〜20cmくらい)。伸ばしたパイ生地に砕いたチョコレートと砕いたアーモンドを播く。その上に同じサイズに伸ばしたパイ生地を乗せて、縦に6等分する。オーブンで15分焼く。

<おっさんの独り言>
要するにただパイ生地を長方形に焼くだけ。間に挟むのはチョコとナッツにしたが実はなんでもいい。水分が少ないもののほうがいい。パイ生地は冷たいママのほうがサクサクになるよ。作ってるうちに柔らかくなったら冷蔵庫にちょっとぶちこむといい。焼きたてのパイ生地うまいよねという気持ちにおんぶにだっこの一品。オシャレにしたければチョコを溶かして焼けたパイの片辺のみ1/3くらいテンパリングすればだいぶカワイイ。おっさんもカワイイモノ好きです。

三品目 『チョコ変わり焼き菓子』
パリパリの皮からチョコが顔出しするかわいい形の焼き菓子。焼きたてでも冷めても美味しい。

<材料>所要時間-----------
6個分 所要時間20分
・チョコレート30g
・春巻の皮・小 6枚
・卵黄 ちょこっと

あれば
・ドライフルーツ 少々
・もうなんかチロルチョコでいいよ
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<作り方>
オーブンを220度に温める。チョコレート5g(アルファベットチョコレートなら一個)を春巻きに包み、卵黄を塗り8分程度焼く。

<おっさんの独り言>
冷凍パイ生地や、伸ばすことに敷居が高い人向け。パリパリになった春巻きの皮とチョコは相性良し。普通に焼くと白く仕上がるが卵黄を塗れば焼き色が綺麗につくのでそこだけ留意。春巻きだと思わなければパリパリの美味しい皮だから!
あと、餃子みたいに包むのもアリだが、春巻の皮の巻き方一つで超かわいく仕上がる。ラビオリや中華の点心の皮の包み方を参考したい。クルッと包んだ後に両端をキャンディーのように絞るとキャンディー型だし、半円状に包んで、両端をクルッとくっつければ王冠型になる。カワイイ! 中身は実はホントなんでもいい。チロルチョコで試したら手軽にいろんな味が楽しめたのでオススメ。日本のチョコは、最上級を求めない限りどれも美味しいので、どうにでもなっちゃう。下手に手を加えるほどにまずくなるぞ! おっさんレシピを参考にプレゼントする後ろめたさをアレしたいときは、ドライフルーツやナッツ、マシュマロなどを入れて、手作りでもうちょっとがんばってるよ私! とつぶやくといい。オレンジピールが鉄板だが、マーマレードや各種ジャムをほんのちょこっととかでもいいかも。

深夜にひとりきりチョコで大暴れ!

「コンビニでなんかチョコが買いづらかった」だけで、人間はここまでできる! と、バレンタイン駆け込み需要対応のお手軽レシピを三品紹介しながら、若さのないコメントを付けてみたがいかがでしょうか。写真だけ見ると、けっこう「ソレっぽい」かなと思うのですが。今、自分は得体のしれない充足感でいっぱいです……。しかも調子に乗って、チョコの春巻きをオーブンで焼かずに油で揚げて、アツアツを頬張ってしまいました。コレはほとんど罪の味。罰せられるほど熱くて旨いチョコの奔流と、砂糖とチョコと油のカロリーハーモニー。チョコの代わりに生ハムを揚げてもウマいぞ!
ところでさっきから、パリパリサクサクとできあがったチョコをむさぼりながらも、脳内で「コレは石原さとみからのプレゼント……。コレは石原さとみからのプレゼント……」と自己暗示をかけるのをやめられないのですが、どうすればいいでしょうか。

 恋する女子の方々におかれましては、この手抜き極まったレシピを参考にプレゼントを作ったさいには、「じつはコレ、なんかおっさんが一人で小一時間で作ってたものなんだけど……」というセリフをグッと飲み込んで、「ちょっと失敗しちゃったかも……美味しくなかったら食べなくていいから! 気にしないで(あとでおっさんの悪口をネットに書くので)!」というといいと思いますよ。恋とかもうわからなくなったので、応援団の方でいいです俺。
(久保内信行)