『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』古川武士(著)/日本実業出版社

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新しい年が始まったとき、一年の目標を決める人は多いだろう。でも、それを実現させるのはなかなか難しい。と言っている私こそ実現できていない一人で、「今年こそはダイエットを成功させるぞ」と、心に決めるものの達成できず毎年同じ目標を立てている。

でも、毎年同じ目標を立てている自分にいい加減うんざりし、「今年こそは何とかしたい!」と手に取ったのが習慣化コンサルタント・古川武士さんの著書『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』だ。

ムダ遣い、食べ過ぎ・飲み過ぎ、夜更かしやダラダラ生活といった習慣をやめられない理由と、その解決法が具体的に分かりやすく紹介されていた。

その中で一番感心したのが、結果より行動に目をむけると良いということだ。例えば“3キロやせる”などの目標は、達成すると原動力を失ってリバウンドしやすい。そこで体重よりも、食生活や運動を“自然な習慣”にすることを心がけたほうが良いそうだ。確かに、“夜食を控える”“ダラダラ食べ”をやめることを習慣化すれば、やせていき、その後はリバウンドしにくいだろう。

本書を読み終わると「食べ過ぎてしまう悪い習慣をやめられるかも!」となんだかやる気が出てきた。そこで実践するために、もっと詳しく知りたくなり、本書の担当編集者・滝さんにいろいろとお話を伺ってみた。

――そもそもなぜ多くの人は、悪い習慣をやめられないのでしょう。
滝さん たとえ悪い習慣であっても、一度身についてしまうと、人間の脳がそれを“いつも通り”と認識して、現状を維持しようとします。また悪い習慣はたいてい、人の心理的メリットを満たしているものです。タバコならリラックスしたい、ゲームなら刺激が欲しい、というように。これらのメリットを他の行動で代替しない限り、悪い習慣をやめるのは難しいのです」

――では、悪い習慣をやめるための最大のポイントは何でしょうか。
滝さん 目先の誘惑をコントロールすることです。本書では、それを具体的な3つの対策(“こころの体力”をつける、骨太の理由を作る、“スイッチング”をする)に落とし込みましたが、1つに絞るとしたら、スイッチングです。

――そのスイッチングとはどのようなものですか。
滝さん 悪い習慣で満たしている心理的メリット(刺激がある、リラックスできる、人とつながっていられる、など)を維持したまま、悪い習慣の行動だけを変えるのがスイッチング。タバコをやめる代わりに、ガムやコーヒーで緊張を和らげるようスイッチするのが、代表的な例です。

――なるほど、ただやめるだけではなく他の行動と入れ替えることが成功の秘訣なんですね。話は変わりますが、編集していく上で習慣について知ることが多かったと思うのですが、その中で驚いたことはありましたか?
滝さん 悪い習慣の誘惑に打ち勝つためには“こころの体力”が必要だということです。こころの体力をつける具体的な方法については本書に譲りますが、心身ともに健康でなければ、誘惑に勝てないということは発見でした。

――最後に、滝さんは実際に試してみたことはありますか。
滝さん この本の編集に際し、飲み過ぎをやめるため、一か月禁酒しました。その際、SNSなどを通じて“禁酒宣言“をすることで、自分に適度なプレッシャーをかけました。また、禁酒の結果を記録するため、記録専用のアプリをスマホにダウンロードし、毎日記録することで、モチベーションを保てました。

本書によると、滝さんのように周りに宣言することは効果的だそう。そのほかにも、上手くできたときにご褒美、逆にできなかったときは罰を自分に与える、一緒の目標を持つ仲間と励ましあうなどといった、モチベーションを保つための工夫がいくつか紹介されている。

さて、私事になるのだが、どうしていつもダイエットに失敗してしまうのか考えてみた。そして平日にコンビニでお菓子を買ってしまうことが多いことに気づき、まずはそれをやめてみている。今のところ間食の量が減り、さらに節約にもつながっていてまさに一石二鳥である。今後は本格的にお菓子をガムや果物に変えてみようかと思っている。今年こそはやせるぞ。

何かをやめたいと思っている方、今年こそ悪い習慣をやめて、目標を達成してみませんか?
(上村逸美/boox)