インターネット広告の今:ユーザーはフェイスブック、グーグル、ツイッターに狙われる

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大手ソーシャル企業が、インターネット広告のためにどのようなユーザー情報を収集しているのか

インターネット広告の特徴は、適切な相手に適切なメッセージを適切なタイミングで届けられることだ。フェイスブック、グーグル、ツイッターは皆、ユーザーと広告主の両方に好かれようと必死に立ち回っている。しかし実際の広告手法やユーザー分析の有用性については、各社に大きな違いがある。

企業はこれまで長いこと、自社の商品やサービスを一番使ってくれそうな(そしてそれを他の人にも紹介してくれる)人々だけを対象に広告を打つことを目指してきており、最近では紙媒体の広告を敬遠する傾向がある。National Newspaper Association(米国新聞協会)によれば、印刷広告は過去7年間で実に60%も減少している。また雑誌の印刷広告も同様に38%の減少となっている。

適切な人へのアプローチ

伝統的に広告主は、「間違った人(自社のターゲットとなるマーケットに含まれない人)」に広告を出す無駄を最小化するために、ターゲティングを行ってきた。今ではデジタルメディアの出現により、広告の出稿(メディアの買い付け)は、より広いマーケットの中から特定の消費者グループを狙って行うことが可能な形へと、成熟を遂げている。

この洗練されたターゲティングの手法は、大量の消費者データへアクセスが可能になった直接の結果だ。このデータが多いほど、狙った消費者にマッチする広告を届けることが可能となる。紙媒体の広告の広告主が、この広告を届けるレースの勝者ではないことは明らかだろう。そしてデジタルメディアの各企業は、顧客層あるいはまだ興味を持っているだけで顧客にはなっていない消費者を正確に識別できる、この貴重なデータの収集を巡って争っているのだ。

大手ソーシャル企業の中で、最もこのデータ収集に成功しているのはどこだろうか。広告主のターゲティングを可能とするため、フェイスブック、グーグル、ツイッターがそれぞれどのようにユーザー層やアクティビティに関するデータを使っているのかを見ていこう。

ターゲットとなるユーザー情報の特定

特定の消費者のために広告を作成し最適化するためには、ユーザー情報をベースとしたターゲティングが不可欠だ。賢いマーケティングのためには、ターゲットとなる消費者のデモグラフィック・プロファイル(性別・年齢・収入その他のユーザー属性)を知り、特定のサブグループと共鳴する可能性がありそうなメッセージを適切に届けることが必要となる。

フェイスブックは莫大な量のユーザー情報を保有しており、広告主にターゲティングのための多くのオプションを提供することができる。つまりフェイスブックは、対人関係から教育レベル、子供がいるかどうかというような、様々なデータセットをターゲットとすることが可能なのだ。一方グーグルは場所、年齢、性別をベースにした広告だけが設定可能で、3社中最も新しい企業であるツイッターは、性別と位置のみをターゲットとして設定できる。

第一回戦の勝者はフェイスブックだ。

アクティビティのトラッキング

ソーシャルネットワークは、人々のコミュニケーションを促進するというその性質上、多くのユーザーのアクティビティを元に成り立っている。ユーザーのフォロー、シェア、いいね、リツイートなどの全てのアクションが、何らかの行動の結果なのだ。そしてこれらのアクティビティの殆どは、広告主が消費者グループを作成してターゲティングするのに使われている。

グーグルの検索もアクティビティを持ってはいるが、比較的限定されている。これは検索という行動が、相互作用するネットワークではなく1対1のブラウジング・パターンにフォーカスしているためだ。このため、グーグルのInterest Targeting Tool(ユーザーの興味をターゲティングするツール)は、ユーザーの検索情報を分析し、「Interest bucket」(頻繁に訪れるWebサイトから割り出したグループ情報)を作ることによって機能している。このツールによって広告主は、自社の商品に類似する商品やサービスに興味を持つ個人や、時には広告主が売っているものと全く無関係なウェブページを閲覧している場合でさえも関連性が高いものとして識別し、ターゲティングすることが可能となる。

対照的にフェイスブックの場合、広告主は「Precise interest」、「Facebook categorie」、「Partner categorie」という3つの異なる方法で消費者をターゲティングすることが可能だ。Precise interestターゲティングは、ユーザーが自分のタイムラインでシェアした特定の用語によって消費者をグループ化することができる。Facebook categorieターゲティングは対照的に、自分のタイムライン上でより一般的なジャンルに関連した特定の用語をシェアした人へ、広告を打つことを可能とする。例えば広告主は、Precise interestターゲティングを使って特定の(例えば「Portland Trail Blazers」のような)バスケットボールチームのファンにリーチすることができる。一方Facebook categorieターゲティングでは、全てのバスケットボールファンを対象とすることができる。

最後のPartner categorieは、Facebookにデータを提供する第三者のデータ・プロバイダー企業が構築するグループ情報を使うことで、より精度の高いターゲティングが可能だ。ユーザーのフェイスブック以外での行動がベースとなるため、購買の行動から投資を好むかどうかに至るまで、幅広いカテゴリが存在し行動の指標も非常に多彩だ。

ツイッターの広告プラットフォームも、ユーザーの興味をベースとしたターゲティングを提供している。フェイスブックの2番目のオプション(Facebook categorie)と似ていて、広告主は、ユーザーのタイムライン上でシェアされた特定のキーワードあるいはより広いカテゴリによって、消費者をグループ化しターゲティングすることが可能だ。さらにツイッターには「like followers」という非常に優れた機能がある。この機能を使うことで広告主は、特定のツイッターユーザーやユーザー・セットに似ている消費者のグループを作ることが可能となる。つまり、フォローしているアカウントや趣味のような、ユーザー間の共通項を探し出し、グループ化しているのだ。

フェイスブックもこの「like followers」のようなターゲティングを可能にするデータを持ってはいるが、広告主のものでないページのファンにリーチするこのようなオプションは、現段階では提供されていない。

第二回戦は引き分けだろう。

リマーケティング

リマーケティングとは、過去に特定のウェブサイトを閲覧したことのある人に対して広告を表示することができる、行動ターゲティングの手法だ。ウェブ・ページあるいはいくつかの対象ページにリマーケティング用のコードの部品を置くことで、閲覧者のブラウザに閲覧情報がCookieとして保存されようになる。このCookieはトラッキング・タグのように作用し、利用者のウェブ閲覧に広告が「フォローする(ついて回る)」ことを可能とするのだ。

グーグルの場合このリマーケティングは、利用者が同社の広告ネットワーク(Google Display Network)に加盟するサイトを閲覧する際の広告掲出に使用されている。フェイスブックではデスクトップとモバイルのニュース・フィード、画面の右端のエリアの広告に利用されている。去年の12月、ツイッターはこのリマーケティング機能「tailored audience」をグローバル展開すると発表した。これによりブラウザ関連の情報(Cookie ID)とツイッターアカウントを照合して、ユーザーのフィードにそのユーザーと関連付けた広告を表示することが可能となる。

第三回戦の勝者はグーグルだ。

焦るGoogle

グーグルが何かにつけて様々なサービスとGoogle+を結びつけようとする気持ちも分からなくはない。成長を続けるインターネット広告のシェアを奪おうと、検索サービスとソーシャルメディアの間では、激しい争いが繰り広げられているのだ。

既にアラスカ州の人口にも匹敵するほどのターゲット人口を抱えていながら、グーグルはさらに速度を上げ、もっと学習し、より多くのユーザーのアクティビティやユーザー情報を集めなくてはならない。ユーザー毎に関連付けられたターゲティング広告のためには、もっとユーザーを細かく切り分ける必要がある。日々の消費者の活動とそのサブグループに的確にリーチするために、絶え間なく供給される新しいツールやテクニック、アプローチ方法を手にしたデジタル時代の広告主こそが、全ての戦いの勝者なのだ。

編集部注:この記事は、Kelly Cooper氏(ShopIgniter社のマーケティング・マネージャ)によって執筆されました。

画像提供: Sean MacEntee(Flickrより)CC

Kelly Cooper
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